賦課限度額とは、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料等の年間保険料に設けられる上限額をいい、国民健康保険税では課税限度額と呼ばれる。
所得に応じて算定されるはずの国保料に、なぜ上限があるのか。保険料は税と違い、給付という見返りに対応する負担であるため、負担が所得に純粋に比例して青天井になると、受ける給付との均衡を欠いて保険制度への納得を損なう。この考え方から設けられているのが賦課限度額である。国民健康保険では、医療給付費分、後期高齢者支援金等分、介護納付金分の三つの区分ごとに、政令(国民健康保険法施行令・地方税法施行令)が限度額を定め、市町村は条例でその範囲内の額を設定する。令和6年度の政令上の限度額は三区分合計で106万円である。後期高齢者医療保険料にも同様の限度額があり、広域連合の条例で定められる。限度額は毎年度のように政令改正で引き上げられており、これは高所得層により大きな負担を求めることで、限度額に届かない中間所得層の料率上昇を抑えるためである。引上げの政令改正は例年12月頃に方針が示され、市町村は3月議会での条例改正と当初賦課の準備を短期間でこなすことになる。
引上げの論理と条例対応の実務
国は、賦課限度額に達する世帯の割合を被保険者全体の1.5%に近づけることを目安に、限度額の水準を調整してきた。限度額が低いままだと、保険料収入を確保するために料率そのものを上げざるを得ず、その負担は限度額に届かない大多数の中間所得層に及ぶ。限度額を引き上げれば、高所得世帯の負担増と引換えに料率上昇を抑えられるという構図である。市町村の実務では、政令改正を受けて条例(国保税方式では市町村税条例)の限度額を改正するかどうかが毎年度の判断になる。政令額は上限であって義務ではないため、据え置く保険者もあるが、据置きは料率側への跳ね返りや、都道府県が示す標準保険料率との乖離を生む。改正のタイミングは当初賦課前の3月議会が基本で、広報やコールセンターには「上限額が上がったのはなぜか」という高所得世帯からの問合せが集中するため、受益と負担の均衡という制度趣旨を説明できるよう準備しておきたい。
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)