保険者とは、社会保険制度を運営し、保険料の賦課・徴収と保険給付の支払いを行う運営主体をいう。国民健康保険では市町村と都道府県、介護保険では市町村、後期高齢者医療制度では後期高齢者医療広域連合が保険者となる。
同じ「医療保険」「介護保険」と一括りに語られても、誰が制度を回し誰に保険料を払うのかは制度ごとに違う。保険者はその運営責任を負う主体であり、被保険者の資格管理、保険料の決定と徴収、給付の決定と支払いという制度運営の中核を担う。
自治体職員にとって保険者は「自分たちが当事者になる」概念である点が重要となる。国民健康保険は2018年度の制度改革で都道府県が財政運営の責任主体となり市町村と共同保険者の関係になったが、資格管理・賦課徴収・窓口業務は引き続き市町村が担う。介護保険は市町村が単独の保険者であり、3年ごとの介護保険事業計画の策定から保険料率の設定までを市町村の責任で行う。後期高齢者医療は事務処理を都道府県単位の広域連合に集約している。誰が保険者かによって、被保険者からの問い合わせの一次窓口や、財政赤字が生じたときの最終的な責任の所在が決まる。
制度ごとに異なる保険者の構成
社会保険の保険者は制度ごとに設計が分かれる。国民健康保険は2018年度(平成30年度)の国保改革で都道府県が財政運営の責任主体となり、市町村は資格管理・保険料の賦課徴収・保険給付の決定・保健事業を担う「共同保険者」の位置づけとなった。市町村は集めた国保税(料)を国保事業費納付金として都道府県へ納め、都道府県は保険給付に必要な費用を保険給付費等交付金として市町村へ交付する。介護保険は市町村(特別区を含む)が単独の保険者で、財政運営も保険料設定も市町村単位で完結する。後期高齢者医療制度は、市町村が加入して都道府県ごとに設立する後期高齢者医療広域連合が保険者となり、保険料率の決定や給付を広域で処理する一方、保険料徴収や申請受付は市町村が窓口を担う。
保険者が負う3つの責任
保険者の役割は資格管理・財政運営・給付の3点に集約される。第一に被保険者の資格を管理し、加入・喪失の届出を処理して被保険者証を交付する。第二に保険料を賦課・徴収し、不足が生じれば保険料率の引上げや一般会計からの繰入れで財政の帳尻を合わせる責任を負う。第三に療養の給付や介護サービス費といった保険給付の支給を決定し費用を支払う。これらを誰が担うかが制度設計の分かれ目であり、たとえば介護保険では市町村が保険料の設定権限を持つため、地域の高齢化率やサービス基盤によって第1号被保険者の保険料が市町村ごとに大きく異なる。被用者保険(健康保険・厚生年金)では全国健康保険協会や健康保険組合、日本年金機構が保険者となり、自治体が保険者となる地域保険とは運営主体が異なる。
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