国民健康保険税とは、地方税法第703条の4に基づき市区町村が国民健康保険事業費の財源に充てるために賦課・徴収する目的税のことである。「国民健康保険料」として地方自治法第225条に基づく使用料・手数料の形で徴収する自治体と「国民健康保険税」として地方税法に基づく税として徴収する自治体があり、いずれも実質的には国民健康保険の保険料に相当するものである。
職場の健康保険に入れない自営業者や無職の人も医療を受けられる必要があるが、その医療費を賄う財源がなければ国民皆保険は成り立たない。国民健康保険税は、市区町村が国民健康保険事業の財源に充てるために賦課・徴収する目的税であり、職域保険に属さない住民の医療を支える費用を加入者から集める点に意味がある(地方税法第703条の4)。
国民健康保険は、農業・自営業・非正規労働者・無職者など職域保険に加入できない人を対象とする公的医療保険で、市区町村が保険者として運営する(国民健康保険法第3条)。財源を「税」として徴収する自治体と「保険料」として徴収する自治体があり、いずれも実質は保険料に相当する。額は所得割・均等割・平等割の三方式(または所得割・均等割の二方式)の組み合わせで算定し、条例・規約で定める。
保険税と保険料の違い
国民健康保険の財源を「税」として徴収するか「保険料」として徴収するかの選択は市区町村に委ねられている。「税」として徴収する場合(国保税)は地方税法の滞納処分(強制徴収)が適用できる利点があるが、賦課額の上限が法令で定められる。「保険料」として徴収する場合(国保料)は賦課の柔軟性が若干高いが、強制徴収には民事訴訟等の手続きが必要になる場合がある。実務的には「国保税」と「国保料」で大きな違いはなく、都道府県・国が示す標準保険料率を参考に市区町村が独自に設定する形が基本となる。
都道府県の財政運営責任
2018年(平成30年)の国民健康保険法改正により、国保の財政運営の責任が市区町村から都道府県(法人格のある都道府県国民健康保険)に移行した。都道府県は「標準保険料率」を算定して市区町村に示し、市区町村はこれを参考に実際の保険料(税)率を条例で定める。市区町村は都道府県に「国保事業費納付金」(実際の医療費等に基づく費用負担)を納付し、都道府県から「普通交付金・特別交付金」として財源が交付される形になった。この改正により市区町村の国保財政の安定化が図られた。
滞納と保険証の交付
国保税(料)の滞納者には「短期被保険者証」(有効期間が通常より短い保険証)・「被保険者資格証明書」(窓口で10割負担となる書類)が交付される仕組みがある。ただし15歳未満の子ども・高齢者・重篤な病気の者等には滞納があっても通常の保険証を交付することが社会的合意となっており、市区町村の国保担当課が個別事情を考慮した対応を行う。国保税滞納者への分割納付交渉・納付相談の実施が収納率向上と制裁措置回避のうえで重要な業務となる。
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