被保険者とは、社会保険制度において保険料を負担し、保険事故が生じた際に保険給付を受ける権利を持つ加入者をいう。国民健康保険や介護保険などでは、原則としてその区域内に住所を有する者が法令上当然に被保険者となる。
民間の保険は契約して初めて加入するが、公的な社会保険では本人の意思にかかわらず、要件を満たせば法律上当然に資格が発生する。被保険者はその制度の対象として保険料の負担義務と給付を受ける権利の両方を持つ立場であり、誰が被保険者になるかが制度の適用範囲そのものを決める。
この「強制加入」が社会保険の根幹で、健康な人も病気の人も加入することで保険集団のリスク分散が成り立つ。被保険者の資格は届出ではなく事実の発生(転入・年齢到達・離職など)によって取得・喪失するのが原則で、届出はその事実を保険者に知らせる手続きにすぎない。介護保険では65歳以上の第1号被保険者と40歳から64歳までの第2号被保険者で保険料の徴収方法と給付を受けられる条件が分かれ、医療保険では職域の被用者保険か地域の国民健康保険かで適用される制度が変わる。窓口で「いつから資格があるのか」「いつ喪失したのか」を正しく判定することが、保険料の遡及賦課や給付の返還といった実務に直結する。
資格は届出でなく事実で発生する
社会保険の被保険者資格は、本人の申込みや保険者の承認ではなく、法令で定めた事実の発生によって自動的に取得・喪失する。たとえば国民健康保険では、他の医療保険に加入していない者がその市町村に住所を有することになった日に資格を取得し、転出や被用者保険への加入があった日に喪失する。介護保険では、市町村に住所を有する者が65歳に達した日に第1号被保険者の資格を取得する。届出(資格取得届・喪失届)はあくまで発生した事実を保険者に通知するための手続きであり、届出が遅れても資格の発生日は事実の日に遡る。このため届出が遅れた場合は保険料が遡って賦課され、その間に他制度で受けた給付の調整が必要になることがある。
区分によって変わる保険料と給付
同じ制度の被保険者でも、区分により保険料の徴収方法や給付の条件が異なる。介護保険の第1号被保険者(65歳以上)は原因を問わず要介護・要支援状態になればサービスを受けられ、保険料は年金からの特別徴収が原則となる。第2号被保険者(40歳から64歳までの医療保険加入者)は末期がんや初老期認知症など加齢に起因する特定疾病による場合に限り給付を受けられ、保険料は医療保険料に上乗せして徴収される。医療保険では、会社員などが加入する被用者保険の「被保険者」とその家族である「被扶養者」が区別され、被扶養者は保険料を負担せずに給付を受ける。国民健康保険には被扶養者の概念がなく、世帯の全員がそれぞれ被保険者として保険料の算定対象となる点が被用者保険との大きな違いである。
つながりのある用語
関連
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)