ジチテン

服務義務

読み:ふくむぎむ

意味

服務義務とは、地方公務員が全体の奉仕者としてその職務にあたるうえで守るべき義務の総称であり、地方公務員法第30条から第38条までの「服務」に関する規定に基づく。職務の遂行に伴って生じる職務上の義務と、職員という身分に伴う身分上の義務とに大別される。

民間企業の従業員であれば、勤務時間外の行動や副業はおおむね私生活の領域に属する。これに対して地方公務員には、在職中の身分そのものに広く規律が及ぶ。全体の奉仕者として公務の中立と公正、住民の信頼を保つ必要があるためで、地方公務員法は第30条の根本基準を起点に、勤務時間中の職務専念から退職後にも残る守秘まで、私人にはない義務を課している。これらは、職務の遂行に伴って生じる職務上の義務(上司の職務命令に従う義務や職務専念義務など)と、職員という身分から離れない身分上の義務(信用失墜行為の禁止、秘密を守る義務、政治的行為の制限など)に大別される。範囲は一律ではなく、たとえば政治的行為の制限は国家公務員より緩やかで、争議行為の禁止のように違反すれば罰則が科されうるものもある。いずれも違反は懲戒処分の事由となり、職への信用に直結する。

職務上の義務と身分上の義務

服務義務は、性格の異なる二つの群に整理される。職務上の義務は、職務を遂行する場面で問題となる義務で、服務の宣誓(地方公務員法第31条)、法令等及び上司の職務上の命令に従う義務(第32条)、職務に専念する義務(第35条)がこれにあたる。一方、身分上の義務は、職員である限り勤務時間の内外を問わず、また職務と直接関係のない場面でも課される義務で、信用失墜行為の禁止(第33条)、秘密を守る義務(第34条)、政治的行為の制限(第36条)、争議行為等の禁止(第37条)、営利企業への従事等の制限(第38条)が含まれる。守秘義務が退職後にも残るのは、それが職務遂行の場面に限られない身分上の義務だからである。両者を区別しておくと、ある規律が勤務時間外の行為にまで及ぶのかを判断しやすい。

違反がもたらす責任

服務義務に違反した職員は、地方公務員法第29条に基づく懲戒処分(戒告減給停職免職)の対象となる。どの程度の処分が相当かは、義務違反の内容と結果の重大性、故意か過失か、職責の軽重などを総合して判断され、各団体の懲戒処分の指針で量定の目安が示されていることが多い。義務のなかには懲戒にとどまらず罰則を伴うものもあり、秘密を守る義務の違反や、争議行為をあおり、そそのかす行為には刑罰が定められている。懲戒処分は、勤務実績の不良などを理由とする分限処分とは異なり、職員の義務違反に対する制裁という性格を持つ点に注意がいる。

適用される職員の範囲

服務に関する規定は、地方公務員のうち一般職に適用される。首長や議員、各種委員などの特別職には地方公務員法そのものが原則として適用されず(同法第4条第2項)、服務義務も当然には及ばない。会計年度任用職員を含む一般職の非常勤職員には服務義務が及ぶが、フルタイムかパートタイムかによって営利企業への従事等の制限の扱いに差が生じるため、副業や兼業の可否を窓口で案内する際には任用形態の確認が欠かせない。定年前再任用短時間勤務職員なども一般職であり、服務義務の対象となる。

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