労働組合の結成を理由に組合員を解雇するなど、使用者が労働三権を侵す行為があったとき、労働者は裁判の前にどこへ救済を求められるのか。その受け皿が労働委員会で、労働組合法を根拠に、不当労働行為からの救済と労働争議の解決を専門に扱う。中央労働委員会は国に、都道府県労働委員会は各都道府県に置かれ、後者は地方自治法上の執行機関である行政委員会の一つとして知事から独立して権限を行使する。委員は労使の利害から距離を置けるよう公益・労働者・使用者の三者構成をとり、争点の判断は公益委員が担う。自治体職員にとっては、人事委員会・公平委員会が公務員の勤務条件を扱うのと対照的に、労働委員会は民間労使関係を所管する点で役割が分かれる。
不当労働行為の審査と救済命令
労働委員会の中核的な権限は、労働組合法第7条が禁ずる不当労働行為——組合活動を理由とする解雇等の不利益取扱い、団体交渉の正当な理由のない拒否、組合運営への支配介入など——についての審査である。申立てを受けると、調査・審問を経て公益委員が合議し、違反が認められれば原職復帰や団体交渉応諾などを命ずる救済命令を発する。命令に不服がある場合は中央労働委員会への再審査、または裁判所への取消訴訟へと進む。準司法的な手続を行政委員会が担う点に特徴があり、迅速かつ専門的に労使紛争を処理する仕組みとして設計されている。
あっせん・調停・仲裁という争議調整
もう一つの柱が、労使間の労働争議を解決する争議調整であり、労働関係調整法に基づきあっせん・調停・仲裁の三段階が用意される。あっせんはあっせん員が当事者の自主的解決を後押しする最も簡易な手続、調停は三者構成の調停委員会が調停案を示す手続、仲裁は仲裁委員会が示す裁定が労働協約と同一の効力を持つ最も拘束力の強い手続である。賃金や労働条件をめぐる団体交渉が行き詰まったとき、当事者の申請や職権で開始され、ストライキなど争議行為の長期化を避ける機能を果たす。労働委員会はこのように、紛争の白黒をつける審査と、合意形成を促す調整との二面を併せ持つ。
都道府県労働委員会と地方自治制度上の位置づけ
都道府県労働委員会は、地方自治法第180条の5が定める執行機関としての行政委員会の一つであり、知事の指揮監督から独立して職権を行使する。委員は公益・労働者・使用者の各側から知事が任命し、労働者委員は労働組合の、使用者委員は使用者団体の推薦に基づくことで三者の利害の均衡が図られる。同じ独立行政委員会でも、自治体職員の勤務条件や不利益処分を扱うのは人事委員会・公平委員会であり、労働委員会が所管するのは民間部門の労使関係である。中央労働委員会は複数都道府県にまたがる事件や行政執行法人の事件などを扱い、地方の委員会と役割を分担している。
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