民間の法人に勤める職員でありながら、その業務が公共性を帯びるために、収賄や職務上の守秘について公務員と同じ刑事責任を負う——みなし公務員は、この「身分は民間・責任は公務員」というねじれを指す。根拠は個別の法律に置かれた「公務に従事する職員とみなす」旨の規定で、二百を超える法令に同種の条文が置かれている。日本年金機構や国立大学法人、日本郵便、独立行政法人国立病院機構の役職員などが該当する。自治体の周辺でも、出資法人や事務を委ねた法人の職員にこの規定が及ぶかは設立根拠法ごとに異なり、不祥事への対応や契約管理の場面で「この職員は刑法上どう扱われるか」を確かめる必要が生じる。
「みなす」規定がどこに置かれるか
個々の法律の罰則章や雑則に、「役員又は職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす」という条文を置く形をとる。包括的な一本の法律があるわけではなく、法人ごと・制度ごとに規定の有無と範囲が分かれる。適用される罰則は収賄罪を中心とし、職務に関して賄賂を受け取れば公務員と同じく処罰される。職務上知り得た秘密の漏えいや、その職員に対する公務執行妨害も同じ枠組みで扱われることがある。したがって「みなし公務員かどうか」は身分の呼び名ではなく、適用条文を一つずつ確認して判断する事柄である。
公務員型と非公務員型の境目
法人化の設計によって、職員がそのまま国家公務員である場合(公務員型)と、公務員でなくなりみなし公務員にとどまる場合(非公務員型)に分かれる。独立行政法人のうち行政執行法人(旧・特定独立行政法人)の役職員は国家公務員だが、それ以外の独立行政法人や国立大学法人、日本銀行などの職員は公務員ではなく、罰則の適用についてのみ公務員とみなされる。地方でも、特定地方独立行政法人の職員は地方公務員、一般の地方独立行政法人の職員はみなし公務員という線引きになる。同じ公共的な仕事でも、その法人がどちらの型で設立されたかで適用される身分制度が変わる。
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