収賄罪とは、公務員がその職務に関し賄賂を収受し、またはその要求・約束をすることによって成立する刑法上の犯罪をいう。
議員や首長が業者から金品を受け取った場合、それが処罰されるかは「職務との対価関係」があるかで決まる。収賄罪は、公務員がその職務に関して賄賂を収受し、または賄賂を要求もしくは約束することによって成立する犯罪で、刑法第197条以下に定められている。保護法益は公務の公正とそれに対する社会一般の信頼であり、職務の対価として不正な利益を受け取る行為そのものが処罰の対象となる。
収賄罪は態様に応じて複数の類型に分かれる。単純収賄のほか、請託(職務上の特定の行為の依頼)を受けた受託収賄、賄賂を受けた後に不正な職務行為を行う加重収賄、第三者に賄賂を供与させる第三者供賄、公務員になる前の約束に基づく事前収賄、退職後の事後収賄などがある。賄賂を供与する側は贈賄罪で処罰され、収賄と贈賄は対向的に成立する。
地方議会の文脈では、議員が議案の採決や口利きの見返りに金品を受ければ収賄罪が問題となる。ここで混同しやすいのが、あっせん利得処罰法による処罰である。収賄罪は議員「自身の職務権限」に基づく行為の対価を捉えるのに対し、あっせん利得処罰法は職務権限の有無にかかわらず議員の「地位による影響力」を行使したあっせんの対価を捉える点で、捕捉する範囲が異なる。両者は政治倫理条例や公職選挙法上の買収罪とともに、公職にある者の金銭をめぐる規律を構成する。
収賄罪とあっせん利得処罰法の捕捉範囲の違い
議員や首長が金品を受け取った行為をどの法律で問えるかは、その金品が「何の対価」かによって変わる。収賄罪(刑法)は、公務員が自己の職務権限に属する行為に関して賄賂を受け取る場合に成立し、職務行為と賄賂との対価関係が要件となる。したがって議員自身に権限のない事項について便宜を図っても、職務権限がなければ収賄罪は成立しにくい。この間隙を埋めるのがあっせん利得処罰法で、議員が職務権限の有無にかかわらず、その地位に基づく影響力を行使して契約や行政処分のあっせんを行い、その見返りに報酬を受け取る行為を処罰する。つまり収賄罪が「職務権限の対価」を捉えるのに対し、あっせん利得処罰法は「地位による影響力を使ったあっせんの対価」を捉える弁別ペアであり、捕捉する対象が異なる。捜査・告発の実務では、問題となった行為が議員の職務権限に属するか、それとも権限外のあっせんかを見極めて適用法条を判断する。
賄賂罪の体系と贈収賄の対向関係
刑法の賄賂に関する罪は、賄賂を受け取る側の収賄罪と、賄賂を渡す側の贈賄罪が対向して成立する構造をとる。収賄の側は、職務に関し賄賂を受け取る単純収賄、職務上の依頼(請託)を受けて成立する受託収賄、賄賂を受けて不正な行為をする加重収賄、自己でなく第三者に賄賂を供与させる第三者供賄、公務員に就任する前の約束に基づく事前収賄、退職後に受け取る事後収賄など、行為の時期や態様により細かく類型化されている。これに対し賄賂を供与・申込み・約束する側は贈賄罪で処罰される。賄賂とは職務行為の対価としての不正な利益をいい、金銭に限らず物品・接待・債務の弁済など財産上の利益一般を含む。公務に対する信頼を保護法益とするため、現実に職務行為が行われたかどうかにかかわらず、対価としての賄賂の授受や約束があれば犯罪は成立しうる。
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