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ジチテン

繰上投票

読み:くりあげとうひょう

意味

繰上投票とは、公職選挙法第56条に基づき、島その他交通不便の地で投票当日に投票箱を開票所へ送致できない事情があると認められるときに、投票の期日を本来の選挙期日より前に繰り上げて行う投票である。

離島の投票箱が船で開票所に届くまでに半日かかるなら、本土と同じ日に投票していては開票に間に合わない。繰上投票はこの物理的な制約に対応する仕組みで、当該選挙の事務を管理する選挙管理委員会が対象の投票区と期日を定め、本来の選挙期日より早く投票を済ませ、投票箱や投票録を開票の期日までに送致させる。定期航路の便数が限られる離島で国政選挙のたびに行われているほか、台風の接近で投票日の欠航が見込まれるときに、直前の判断で期日を繰り上げる運用もある。

選挙期日の特例という点では繰延投票と対をなすが、方向が逆である。繰上投票は送致の制約や荒天の予測といった事前に分かる事情に備えて期日を前へ動かすのに対し、繰延投票は天災など不測の事故で投票が行えなかった後に期日を後ろへ動かす。投票日が早まる分、その投票区の選挙人にとっては選挙運動に接する期間が実質的に短くなるため、周知の徹底が選管の宿題になる。

期日を動かす権限と実務

繰上投票の期日は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が定める。公職選挙法第56条は、島その他交通不便の地について投票当日に投票箱を送致できない情況があると認めるときは、投票の期日を適宜に定め、開票の期日までに投票箱、投票録および選挙人名簿またはその抄本を送致させることができると規定しており、何日繰り上げるかに法律上の枠はなく、航路や気象の実情に即して決められる。投票日そのものがその投票区だけ前へ動く仕組みであるため、選挙人の側に不在者投票のような特別の手続は要らず、繰り上げられた期日に通常どおり投票所で投票する。半面、候補者の側から見れば選挙運動の期間が事実上短縮された状態で投票が行われることになり、期日の決定と周知をどれだけ早くできるかが公平性に直結する。台風接近時のように公示告示の後に繰上げを決める場合は、決定から実施まで数日しかない中で対象地区への周知と投票所の準備が選管に集中する。

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