緊急小口資金とは、生活福祉資金の一つで、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった低所得世帯等に対し、都道府県社会福祉協議会が少額の生活費を無利子で貸し付ける資金をいう。
医療費の急な支払いや給与の盗難といった不測の事態で、当面の生活費が尽きたとき、どこから借りられるのか。生活福祉資金の中でこの緊急時を受け持つのが緊急小口資金である。貸付限度額は原則10万円以内、無利子・保証人不要で、据置期間ののち1年以内に償還する小口・短期の設計になっている。申込みの窓口は市区町村社会福祉協議会で、貸付は都道府県社会福祉協議会が決定する。この資金が広く知られたのは新型コロナウイルス感染症の特例貸付で、2020年3月から2022年9月まで、休業等による収入減少世帯を対象に限度額20万円・据置1年・償還2年の特例が実施され、総合支援資金の特例とあわせて全国で延べ300万件を超える貸付決定が行われた。生活保護に至る手前の一時的な資金不足を支える位置づけだが、貸付である以上償還が前提であり、収入の回復が見込めない世帯には貸付でなく生活保護や就労支援へつなぐ判断が要る。
コロナ特例貸付と償還免除の事務
特例貸付の終了後、焦点は償還局面に移った。特例の緊急小口資金と総合支援資金には、償還時に借受人と世帯主がともに住民税非課税であれば償還を免除する取扱いが設けられ、社会福祉協議会が免除申請を受けて判定する。非課税かどうかの確認は市町村の課税情報に依存するため、本人同意に基づく税情報の確認や非課税証明書の取得案内で、市町村税務担当と社協の接点が生じる。免除に当たらない借受人にも、少額返済への変更や償還猶予の仕組みが用意されており、督促一辺倒ではなく生活困窮者自立支援制度の相談支援へつなぐ運用が国から繰り返し要請されてきた。特例貸付は、貸付という形をとった事実上の給付ではなかったかという制度論も残しており、住民からの「免除になるか」という問合せに、判定主体は社協であること、非課税要件の確認方法、相談先を正確に案内できるようにしておきたい。
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