ひとり親家庭とは、離婚・死別・未婚などの理由で父または母の一方のみが18歳未満(在学中は20歳未満)の子を養育する家庭である。母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づく福祉施策の対象となる。
親が一人で生計と育児を同時に担うため、就労時間と保育の制約が衝突しやすく、所得が低位にとどまる傾向が統計的に確認されている。ここに対し国と自治体は、現金給付・貸付・就業支援・養育費確保という複数の柱で世帯を支える。現金給付の中心は児童扶養手当で、所得に応じて段階的に支給される。資格面では2014年の法改正で父子家庭が明示的に対象へ加わり、それまで母子に偏っていた施策が両性へ広がった経緯がある。実務では離婚届の窓口や子育て支援の相談窓口が制度への入口になりやすく、養育費の取り決めや面会交流の調整といった、給付では完結しない論点まで支援が及ぶ点が特徴である。
「母子」から「父子」への対象拡大という地層
ひとり親家庭施策は長く母子世帯を念頭に組まれてきた。根拠法も2002年までは母子及び寡婦福祉法で、父子家庭は児童扶養手当の対象外だった。父子家庭への児童扶養手当支給が始まったのは2010年、根拠法の題名に「父子」が入ったのは2014年改正で、ここで母子及び父子並びに寡婦福祉法となった。このため過去の統計や様式に「母子」表記が残り、実務では父子家庭が同じ給付・貸付を使えることの周知が現場の課題として残る。寡婦(かつてひとり親だった配偶者のない女子)まで対象に含む点も、制度の射程を読むうえで見落としやすい。
給付・貸付・就業支援の組み合わせ方
ひとり親家庭への支援は単一の給付で完結せず、性格の異なる施策を世帯の局面に合わせて組み合わせる。所得補填は児童扶養手当、まとまった資金需要(就学・転宅・技能習得)は母子父子寡婦福祉資金貸付金、就労の底上げは高等職業訓練促進給付金や自立支援教育訓練給付金が担う。窓口は福祉事務所の母子・父子自立支援員が中心で、離婚前後の相談から養育費の取り決め支援までを一貫して扱う。給付は所得制限で絞られるため、世帯がどの段階でどの施策に乗れるかを見立てる調整力が実務の肝になる。
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