ジチテン

現金給付

読み:げんきんきゅうふ

意味

現金給付とは、社会保障の給付方法の一つで、受給者に金銭を支給し使い道を本人に委ねる給付である。

生活費の不足を補うのか、特定のサービスの費用を肩代わりするのかで、給付を金銭で渡すべきか財・サービスで渡すべきかが分かれる。現金給付は、生活保護生活扶助住宅扶助児童手当、年金、傷病手当金のように、受給者の手元に金銭を渡してその使途を本人の判断に委ねる方法をとる。日常の多様な需要にきめ細かく対応でき、受給者の自己決定を尊重できる反面、本来の目的以外に費消されうるため、使途が限定される現物給付と対比して論じられる。生活保護では原則として現金給付がとられ、医療扶助介護扶助だけが現物給付という構成になっている。年金や手当のように定型の支給額をまとめて渡す方式と、不足分を補う生活保護のような方式とでは、同じ現金給付でも算定の考え方が異なる。

自己決定の尊重と使途の管理という相反

現金給付の利点は、受給者が自らの必要に応じて金銭を使えること、すなわち自己決定を尊重できる点にある。生活扶助は世帯の食費・光熱費・被服費など日常の多様な需要をまとめて金銭で支給し、何にいくら使うかは世帯に委ねられる。一方、金銭は本来の目的以外に費消されうるため、ギャンブルや浪費による生活困難の再発、あるいは家計管理が難しい世帯への対応が課題となる。生活保護では家計改善支援事業や金銭管理の支援がこれを補い、現金給付の自由度と適正な使用のあいだの緊張を埋める。使途を限定したいサービス(医療・介護)だけを現物給付とし、生活費は現金給付とする組み合わせは、この相反を制度設計で調整した結果である。

定額支給と不足分補填という二つの算定

現金給付には、あらかじめ定めた額を一律に支給する方式と、最低生活費に対する不足分を補う方式の二つがある。児童手当や年金は受給要件を満たせば定型の額が支給される定額型で、所得制限はあっても個別の生活費を積み上げて計算するわけではない。これに対し生活保護の現金給付は、年齢・世帯構成・級地で算定した最低生活費から収入認定額を差し引いた不足分を支給する補填型で、世帯の収入が増えれば支給額が減る。同じ現金給付でも、定額型は受給者の予測可能性が高く、補填型は最低限度の生活の保障を厳密に行える。どちらの方式かによって、収入の変動が受給額に与える影響や、就労収入を得たときの手取りの増え方(勤労控除の扱い)が変わる。

つながりのある用語

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