戦後の地方自治制度では、国の事務を知事や市町村長に執行させる機関委任事務が広範に残り、地方が国の下請機関のように扱われる構造が続いていた。この集権的な仕組みを改めるため、改革の理念と手順をまず法律で定めたのが地方分権推進法である。同法に基づき設置された地方分権推進委員会が国の関与のあり方を調査して数次の勧告を行い、その結論が1999年の地方分権一括法による機関委任事務の全廃へと結実した。法律自体は5年間の時限立法で2001年に失効したが、これが第一次地方分権改革の出発点となり、自治事務と法定受託事務という現在の事務区分の土台を築いた。
時限立法という設計と勧告方式
地方分権推進法は、それ自体が改革を実行する法律ではなく、改革を進める体制と手順を定めた手続法であった。中核は地方分権推進委員会で、有識者からなる同委員会が国と地方の役割分担や国の関与を調査審議し、内閣に対して具体的な改革内容を勧告する。政府はその勧告を受けて地方分権推進計画を作成し、個別法の改正に落とし込む。法律の効力は施行から5年と区切られ、改革の実行段階に入った2001年に失効した。改革の理念と推進体制だけを時限で立ち上げ、実体的な制度改正は別途の地方分権一括法に委ねる二段構えが、この法律の設計上の特徴である。
地方分権改革推進法との違い
名称が似る地方分権改革推進法(平成18年法律第111号)は、この地方分権推進法とは別の法律である。地方分権推進法(平成7年)が機関委任事務の廃止を実現した第一次地方分権改革の根拠であるのに対し、地方分権改革推進法(平成18年)は、その後の義務付け・枠付けの見直しや国から地方への権限移譲を進めた第二次地方分権改革の根拠である。いずれも委員会を設けて勧告させる時限立法という点では共通するが、対象とした改革の段階と中身が異なる。両者は混同しやすいため、第一次か第二次かで区別すると整理しやすい。
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)