義務付け・枠付けとは、国が法令により自治体に一定の事務の実施を義務付け、またはその実施方法・基準を枠にはめて拘束することをいう。
施設の人員配置基準や手続の細部まで国の法令が一律に縛っているために、地域の実情に合わせた運用ができない——この問題意識から、義務付け・枠付けは地方分権改革の主要な見直し対象とされてきた。義務付けとは、自治体に施設の設置や計画の策定などを法令で強制することを指し、枠付けとは、その事務をどう行うかの基準・手続・判断を法令で細かく拘束することを指す。第1次分権改革で機関委任事務が廃止されて事務が自治事務となった後も、個別法による基準の縛りは残った。そこで2011年からの第2次分権改革では、施設・公物の設置管理基準などを「従うべき基準」「標準」「参酌すべき基準」の3区分に整理し、参酌基準の範囲では自治体が条例で独自の基準を定められるようにした。これにより、保育所の面積基準など一部の分野で地域の判断が条例に委ねられた。見直しの程度は分野ごとに異なり、なお国の関与が強い領域も残る。
3類型の基準と条例委任
義務付け・枠付けの見直しの中核は、国が定める基準の拘束の強さを3段階に区分し、緩い区分では自治体の条例に委ねた点にある。「従うべき基準」は自治体が必ず適合させなければならない基準で、これと異なる条例は定められない。「標準」は通常よるべき基準であり、合理的な理由があれば異なる定めができる。「参酌すべき基準」は十分に参照したうえで地域の実情に応じて自由に定められる基準で、最も自治体の裁量が広い。たとえば児童福祉施設の居室面積や職員配置は分野により従うべき基準と参酌すべき基準に振り分けられ、参酌基準の部分は条例で具体の数値を定めることになる。この仕組みにより、従来は政省令が全国一律に縛っていた基準設定権の一部が自治体に移り、条例制定の実務量が増えた。担当課は所管法令の基準がどの区分かを確認し、条例で定めるべき範囲を見極める必要がある。
分権改革における位置づけ
義務付け・枠付けの見直しは、第1次分権改革(1999年の地方分権一括法)に続く第2次分権改革の柱として進められた。第1次改革が機関委任事務を廃止し国と地方を上下・主従から対等・協力の関係へ組み替えたのに対し、第2次改革はなお残る個別法の基準の縛りを緩める「縛りの見直し」に重点を置いた。2011年・2013年などの一括法により、多数の法律の基準が一括して見直され、参酌すべき基準への置き換えや権限移譲が行われた。2014年からは、自治体側から見直しを提案する提案募集方式へと手法が移り、現場の支障事例を起点に毎年の見直しが続いている。もっとも、ナショナルミニマムの確保が必要な分野や国の責任が重い領域では従うべき基準が維持されており、見直しの及ぶ範囲は一様ではない。自治体は緩和された分野で条例による独自基準を設けられる反面、その設計責任を自ら負うことになる。
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