行政の現場で「政府」という語は、文脈によって指す範囲が変わる。最も広くは立法・行政・司法を含む統治機構全体を指すが、「政府方針」「政府予算案」というときは内閣を中心とする国の行政府を指すことが多い。自治体実務でこの語が意味を持つのは、国と地方を対等な統治主体ととらえる政府間関係の視点においてである。地方分権改革は、国(中央政府)と地方公共団体(地方政府)の役割分担を見直す営みであり、機関委任事務の廃止や義務付け・枠付けの見直しは、両者の関係を上下から対等・協力へ組み替える試みと整理できる。誰が何を決め財源をどう配分するかという統治の構図を、政府という語は束ねている。
広義と狭義の二つの意味
政府という語には広狭二つの意味がある。広義では、立法権を担う議会、行政権を担う内閣と行政機関、司法権を担う裁判所までを含む統治機構の全体を指す。狭義では、そのうち行政を担う部分、すなわち内閣とその下の行政機関だけを指し、「政府の見解」「政府予算案」はこの用法である。日本国憲法は三権分立を採るため、厳密には立法府である国会や司法府である裁判所は、行政府としての政府とは区別される。どちらの意味で使われているかは文脈で判断するほかなく、自治体職員が国の文書を読む際にも、その「政府」が統治機構全体を指すのか行政府だけを指すのかを意識すると誤読を避けられる。
中央政府と地方政府という捉え方
比較政治や地方自治の議論では、統治を担う主体を中央政府と地方政府に分けて捉える。日本の法制度上の呼称は国と地方公共団体だが、両者をともに住民・国民の負託を受けた統治主体とみる立場から、国を中央政府、地方公共団体を地方政府と呼ぶ。この捉え方は、国と地方を上下の指揮関係ではなく役割を分担し合う政府間関係としてとらえる地方分権の発想と結びつく。地方分権改革が見直してきた国の関与や財源配分は、中央政府と地方政府の権限と責任をどう配分するかという問題に他ならない。
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