ジチテン

当事者訴訟

読み:とうじしゃそしょう

意味

当事者訴訟とは、公法上の法律関係に関する訴訟のうち抗告訴訟を除くものをいい、形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟に分かれる(行政事件訴訟法第4条)。

公権力の行使にあたらない行政との争いを、どの訴訟で扱うかという場面で登場するのが当事者訴訟である。当事者訴訟は、対等な当事者間の公法上の法律関係に関する訴訟で、処分の公権力性を前提とする抗告訴訟とは区別される。行政事件訴訟法第4条は二つの類型を定める。形式的当事者訴訟は、処分に関する訴訟でありながら法令により当事者の一方を被告とするもので、土地収用の損失補償額をめぐる訴えが代表例である。実質的当事者訴訟は、公法上の地位や金銭給付など公法上の法律関係そのものを争うもので、公務員の地位確認や国籍確認などがこれにあたる。処分性を欠く行政の行為を争う受け皿として、その活用が近年注目されてきた。

形式的当事者訴訟

形式的当事者訴訟は、紛争の実質は行政庁の処分の内容に関わるが、法令が処分庁を被告とせず対等な当事者間の訴訟の形式をとらせるものをいう(行政事件訴訟法第4条前段)。典型は、土地収用法に基づく収用委員会裁決のうち損失補償額に不服がある場合に、起業者と土地所有者を当事者として補償額の増減を争う訴えである(土地収用法第133条)。補償額の当否は本来なら裁決という処分を抗告訴訟で争うべき事柄だが、争いの中心が当事者間の金銭額の調整にあることから、当事者訴訟の形式によらせ、収用委員会を訴訟に巻き込まずに当事者間で決着させる趣旨である。特許の無効審決をめぐる訴えなど、専門委員会の判断のうち私人間の利害調整に帰着する部分について、同様の形式がとられる例がある。

実質的当事者訴訟

実質的当事者訴訟は、公法上の法律関係に関する確認・給付の訴えである(行政事件訴訟法第4条後段)。公務員の地位・給与の支払を求める訴え、選挙人名簿への登録を求める訴え、公法上の金銭債権の支払請求などが含まれる。2004年改正は、第4条に「公法上の法律関係に関する確認の訴え」を例示として明記し、確認訴訟の活用を促した。これは、処分性が認められず抗告訴訟では争えない行政の活動について、当事者訴訟としての確認訴訟で権利義務関係を確定する道を広げる趣旨である。実際、在外国民が次回の国政選挙で投票できる地位の確認を求めた訴えで、最高裁は実質的当事者訴訟としての確認の利益を認め、立法不作為の違憲を前提に地位を確認した。処分という形をとらない行政の作用を争うための受け皿として、その役割が再評価されている。

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