ジチテン

心身の故障

読み:しんしんのこしょう

意味

心身の故障とは、地方公務員法上、職員が職務を十分に果たせない状態を指す事由の一つで、分限処分(降任・免職・休職)の根拠となるものである(地方公務員法第28条)。傷病等により職務の遂行に支障があり、または堪えない場合をいう。

懲戒処分が職員の規律違反に対する制裁であるのに対し、本人に落ち度がなくても傷病等で職務を続けられない事態は別に扱う必要がある。心身の故障は、こうした本人の責めに帰さない事由による職務遂行の困難を捉えた地方公務員法第28条の分限事由で、程度に応じて休職(一定期間職を保有したまま職務を離れる)や、職務に堪えない場合の免職降任の根拠となる。認定には医師の診断や指定医による診断が用いられ、安易な運用は不利益処分として審査請求取消訴訟の対象になりうるため、診断手続と本人への説明を慎重に踏む必要がある。メンタルヘルス不調による長期の病気休暇から休職へ移行する局面で、復職可能性の判定とあわせて実務上の判断が問われる事由である。

懲戒事由・欠格条項との性格の違い

地方公務員法は職員の身分上の不利益処分を、本人の責めに帰すべき規律違反に対する懲戒(第29条)と、責めに帰さない事由による分限(第28条)に分けている。心身の故障は分限事由であり、傷病という本人に落ち度のない事情を捉える点で、信用失墜行為職務命令違反を理由とする懲戒とは性格が根本的に異なる。また、採用の段階で職に就けない欠格条項(第16条)とも別で、心身の故障はあくまで在職中の職務遂行能力の喪失・低下を問題とする。この区別を誤って傷病の職員に懲戒を科せば、処分は違法となる。

休職と免職・降任の判断と手続保障

心身の故障を理由とする分限には、職を保有したまま職務を離れる休職と、職を失う免職・職位を下げる降任がある。実務では、まず病気休暇・休職で療養と復職可能性の見極めを行い、回復の見込みが立たない場合に免職を検討するのが通常の流れである。免職・降任・休職はいずれも職員に不利益を及ぼす処分であり、医師の診断という客観的根拠、本人への理由の提示、処分説明書の交付といった手続を欠くと、行政不服審査法に基づく審査請求や取消訴訟で取り消されうる。とりわけメンタルヘルス不調のケースでは、復職プログラムを尽くしたか、判定が恣意的でないかが争点になりやすい。

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