採用試験に受かることと、現実に官職に就くことは同じではない——任官は、官職に任命される行為を指す語である。戦前の官吏制度では、官吏になることそのものを任官と呼び、高等官の任官は天皇の大権に属した。現在は官吏という身分制度はなく、職員は任用によって職に就くが、裁判官・検察官への任官や自衛官の任官など、特定の職では今もこの語が使われる。地方公務員制度で一般的な「任用」と対比され、人を職に任じるという任命の行為に焦点を当てた表現にあたる。
官に任じられること
任官とは、官職に任命される行為をいい、戦前の官吏制度で中心的な概念であった。明治憲法のもとでは、官吏は天皇の官吏とされ、高等官の任官は天皇の大権に属するなど、任官は身分の取得そのものを意味した。現在の日本国憲法と国家公務員法・地方公務員法の体系では、官吏という身分制度は廃され、職員は任用によって職に就く。それでも「任官」の語は、裁判官・検察官への任官、自衛官の任官など、特定の職に任命される場面で今も使われている。官に任じるという表現には、その職に伴う身分や権限を引き受けるという含みが残る。
任用との関係
現行の地方公務員制度では、職員が職に就くことを「任用」と呼び、採用・昇任・降任・転任をその方法として定める。任官は、このうち人を職に任命する行為に焦点を当てた語であり、任用という制度の枠組みの中に位置づけられる。任命される資格を得た者が、自らの意思で任命を受けないことを任官辞退といい、任命する側を任命権者と呼ぶ。任官の語は沿革的な響きを持ちつつ、任命という行為の本質——一方的な命令ではなく、就任する者の地位の取得を伴うこと——を今に伝えている。
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