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ジチテン

任官辞退

読み:にんかんじたい

意味

任官辞退とは、採用試験などに合格して任命される資格を得た者が、その任官すなわち任命を受けることを辞退する行為をいう。

せっかく難関を突破して任命される資格を得た者が、なぜそのポストに就くことを断るのか。任官辞退は、合格して任用の資格を持ちながら、本人の意思で任命を受けないことを指す。最もよく知られるのは、司法修習を終えた者が裁判官(判事補)や検察官(検事)への任官を辞退し、弁護士など別の道を選ぶ場面である。任命権者の側に拒む事情があるのではなく、あくまで候補者本人が選択する点が辞退の本質である。背景には、勤務地や転勤の見通し、処遇、より自由な職業選択への志向など、個々の事情がある。任命される資格を持つことと、実際にその職に就くこととが別であることを、この語は端的に示している。

任命を辞退する行為

任官辞退は、任命される資格を得た段階と、現実に任命される段階とが区別されることを前提とする概念である。採用試験選考に合格し、任用候補者名簿への登載や採用内定などの形で任命の前提条件を満たした者でも、最終的に任命を受けるか否かは本人の意思に委ねられる局面がある。その意思によって任命を受けないことを選ぶのが任官辞退であり、任命権者が欠格事由などを理由に任命しないことや、いったん就いた職を辞める辞職とは区別される。資格の取得と現実の就任とが分離しているからこそ成り立つ行為であり、公務における任用が一方的な命令ではなく、本人の同意を要する関係であることを映している。

その文脈と背景

この語が最もよく用いられるのは司法の世界である。司法修習を修了し二回試験に合格した者は、判事補・検事・弁護士のいずれかの道に進むが、裁判官や検察官への任官を希望せず弁護士を選ぶ、あるいは任官の打診を受けながら辞退する例が任官辞退と呼ばれる。裁判官・検察官は全国規模の転勤や厳格な勤務を伴うため、勤務地や生活設計、職務の自由度などを考慮して辞退する者が一定数いる。年ごとの任官者数や辞退の動向は、法曹志望者の意識や法曹三者のバランスを映す指標として注目されてきた。司法以外でも、採用内定後に他の進路を選んで任命を受けない場合に、広くこの語が当てはまる。

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