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ジチテン

官吏

読み:かんり

意味

官吏とは、明治憲法下において天皇の大権により任命され、国家に対し忠順勤勉に奉仕する者として位置づけられた、戦前の国家公務員をいう。

現在の公務員が憲法上「全体の奉仕者」とされるのに対し、戦前の官吏は天皇に仕える存在として国民の上に置かれていた——官吏という語は、この主権の所在が逆転する前の公務員像を指す。任免は天皇の大権に属し、官吏服務紀律が忠順と勤勉を求めた。官吏は高等官と判任官に分かれ、高等官はさらに親任官・勅任官・奏任官に区分される身分制であった。日本国憲法の施行によって官吏制度は廃され、国民主権の下で公務員制度へと作り替えられたが、行政の沿革や古い文書を読むうえで、官吏と公務員の違いは今も前提知識になる。

天皇の官吏という建て付け

明治憲法下では、官吏は天皇の任官大権によって任命され、国家との関係は雇用契約ではなく公法上の特別な忠誠関係として説明された。官吏服務紀律は、官吏が天皇および天皇の政府に対して忠順勤勉であるべきことを定め、職務上の規律違反には懲戒が科された。国民は主権者ではなく臣民であり、官吏はその臣民に優越する立場に立つと観念された。身分保障や懲戒が、国民の代表が定める法律ではなく勅令によって規律された点が、現在の法律主義と大きく異なる。

高等官・判任官の身分序列

官吏は大きく高等官と判任官に分けられ、高等官はさらに親任官(大臣など)・勅任官(次官・局長など)・奏任官に区分された。任命の形式や叙位叙勲、礼遇がこの序列に結びつき、官吏の世界は明確な階層構造をなしていた。判任官はその下位で、各官庁の長が天皇の委任を受けて任命する職とされた。戦後、日本国憲法の下で公務員はすべて全体の奉仕者と位置づけられ、こうした天皇への奉仕を前提とした身分序列は廃止された。現在の職層や級は、この戦前の身分制とは断絶した、勤務と職務に基づく制度として組み直されたものである。

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