会社員が病院で保険証を出して3割負担で受診できるのは、勤め先で健康保険に加入しているからである。健康保険には、中小企業の従業員らが入る全国健康保険協会(協会けんぽ)と、大企業や業界が独自に設立する組合健保(健康保険組合)の二つの運営形態がある。地域住民を対象とする国民健康保険が地域保険であるのに対し、健康保険は勤務先という職域で加入が決まる職域保険であり、両者は職域か地域かで対をなす。保険料は事業主と被保険者で折半し、給与天引きで納める点も国保と異なる。自治体実務では、住民の退職に伴う健康保険から国保への切り替え、扶養から外れた際の資格喪失証明の確認など、国保窓口で健康保険との適用関係を整理する場面が多い。
協会けんぽと組合健保という二つの運営形態
健康保険の保険者は二系統に分かれる。一つは全国健康保険協会で、独自の健康保険組合を持たない主に中小企業の従業員が加入し、協会けんぽと呼ばれる。もう一つは健康保険組合で、一定規模以上の企業や同種の事業が単独または共同で設立し、組合健保と呼ばれる。組合健保は法定給付に独自の付加給付を上乗せできるなど運営の自由度が高い一方、協会けんぽは都道府県ごとに保険料率が定められる。被扶養者の制度がある点も健康保険の特徴で、被保険者に生計を維持される家族は人数にかかわらず保険料が増えずに給付を受けられ、ここが世帯員一人ずつに均等割がかかる国民健康保険との大きな違いとなる。
国保窓口で問われる職域保険との資格切り替え
健康保険は職域保険であり、退職して被用者でなくなると資格を失う。失職や定年退職をした住民は、退職日の翌日から原則として国民健康保険へ加入するか、任意継続被保険者として最長2年間健康保険を続けるか、家族の被扶養者になるかを選ぶ。国保への切り替えには勤務先が交付する健康保険資格喪失証明書が要るため、市区町村の国保窓口ではこの証明書の有無や喪失日の確認が手続きの起点になる。逆に就職して健康保険に入った住民は国保の脱退届が必要で、届け出が遅れると保険料が二重に賦課されかねない。被用者保険と地域保険のどちらに属するかを正しく切り分けることが、国保担当の窓口対応の中心となる。
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