出張の事実がないのに旅費を請求すれば、それは公金の詐取にほかならない——カラ出張は、出張命令や復命の書類を偽って旅費・日当を捻出する不正経理の典型を指す。一九九〇年代、食糧費による官官接待などとともに市民オンブズマンの情報公開請求で各地の実態が明るみに出て、自治体の公金管理を問う大きな問題となった。捻出された金は、私的流用のほか、別の支出に充てる裏金の原資にもなった。これを防ぐため、旅行命令と復命、用務先の確認、旅費の支給根拠の突合などの内部統制が強化されてきた経緯があり、財務会計事務の適正化を語るうえで外せない事例である。
どのように公金が抜かれるか
カラ出張は、実際には行っていない出張について旅行命令を出し、出張したかのように復命書や旅費請求書を作成して、旅費や日当を支給させる手口をとる。支給された金は個人が着服する場合もあれば、課や係でプールして簿外の資金、いわゆる裏金にする場合もある。近接する手口に、物品を購入したように装って業者に代金を預けておく預け金や、年度末に予算を使い切るための架空発注があり、いずれも書類上は正規の支出に見える点が共通する。外形が整っているために、書類審査だけでは見抜きにくいのが特徴である。
情報公開と内部統制による抑止
カラ出張が社会問題化した一九九〇年代以降、抑止の中心になったのは情報公開と内部統制である。市民オンブズマンが旅費や食糧費の支出関係文書を情報公開請求で精査し、出張の事実と書類の矛盾を突くことで不正が次々に明らかになった。これを受けて自治体は、旅行命令と実際の用務の突合、復命の徹底、決裁手続の見直し、監査による事後点検などの仕組みを整えてきた。地方自治法が定める内部統制の整備とも連動し、公金の支出が事実に裏づけられているかを組織として確かめる体制づくりが進んでいる。
つながりのある用語
上位概念
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)