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ジチテン

漁業法

読み:ぎょぎょうほう

意味

漁業法とは、漁業権や漁業許可の制度と漁獲可能量による水産資源の管理を定める、漁業制度の基本となる法律である(昭和24年法律第267号)。農地における農地法、森林における森林法に当たる水面利用の基本法で、2018年(平成30年)に約70年ぶりの抜本改正が行われた。

沿岸に洋上風力発電の計画が持ち上がったとき、海面のどこに誰の漁業権が設定されているかを押さえずに調整を始めることはできない。海面の利用秩序を定める基本法が漁業法であり、定置・区画・共同の3種の漁業権を都道府県知事が免許する仕組みと、農林水産大臣や知事の許可で営む許可漁業の仕組みを二本柱とする。2018年(平成30年)の改正(2020年12月施行)は、資源評価に基づく漁獲可能量(TAC)管理を資源管理の基本に据え、漁業権免許の優先順位の法定を廃止する大転換だった。免許や漁場の計画づくりは都道府県の所管だが、市町村漁港の管理や浜の振興策、海域利用の利害調整で本法の制度を前提に動くことになる。罰則の強化によって、あわびやなまこの密漁対策が前面に出たことでも知られる。

2018年改正——TAC管理と免許優先順位の廃止

2018年改正は、別法だった海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(TAC法)を本法に統合し、漁獲可能量(TAC)による管理を資源管理の中心に位置付けた。漁業権の免許では、それまで法定されていた優先順位(地元漁民や漁協を優先する序列)を廃止し、既存の漁業権者が漁場を適切かつ有効に活用している場合はその継続利用を優先しつつ、活用されていない漁場には新規参入の余地を開いた。企業の養殖参入を促す狙いと、漁村の既得権を崩すとの懸念が国会審議で衝突した論点である。海区漁業調整委員会も公選制が廃止され、知事が議会の同意を得て任命する方式に改められた。

都道府県と市町村の実務

免許・許可の事務は都道府県が担う。知事は海区漁場計画を定めて漁業権の内容(漁場の位置、漁業の種類、存続期間)をあらかじめ示し、これに基づいて免許する。海ごとに置かれる海区漁業調整委員会は知事の諮問に答え、漁業調整のための指示を発する都道府県の行政委員会で、その庶務は水産担当部局が担う。内水面では内水面漁場管理委員会が同様の役割を持つ。市町村に免許権限はないが、漁港管理者として、また洋上風力発電や海底ケーブルといった海域利用の地元調整の窓口として、漁業権の設定状況と漁協の意向を踏まえた調整実務に関わる。

密漁対策——特定水産動植物の罰則

2018年改正は罰則を大幅に強化し、あわび・なまこ等の特定水産動植物を許可なく採捕した者に3年以下の懲役または3,000万円以下の罰金を科す規定を新設した(2020年12月施行)。しらすうなぎも2023年12月から対象に加わった。組織的な密漁だけでなく、海水浴客が遊び半分で行う採捕も漁業権侵害や本罪に問われ得るため、沿岸の市町村では漁協・海上保安部・警察と連携した看板設置や広報による注意喚起が夏季の定例業務になっている。漁業権の対象となる磯根資源を観光客が知らずに採ってしまうトラブルは後を絶たず、ルールの周知は水産担当と観光担当の双方にまたがる仕事である。

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