秩序罰とは、行政上の義務違反のうち比較的軽微なものに対して、刑罰ではなく過料を科す行政罰の一類型である。
届出を怠った住民に科す過料は、刑罰の前科とは扱いが違う。この区別を支えるのが秩序罰である。秩序罰は、行政上の軽微な義務違反に対して過料を科すもので、刑罰ではないため刑法総則や刑事訴訟手続は適用されず、前科にもならない。懲役・罰金など刑罰を科す行政刑罰と並んで行政罰を構成する。過料を科す手続は科罰主体によって分かれ、国の法令に基づく過料は非訟事件手続法により裁判所が、条例・規則に基づく過料は地方自治法第149条第3号により長が、弁明の機会を与えたうえで行政処分として科す。住民票の届出義務違反や条例上の届出義務違反などが典型例である。
過料の手続
秩序罰としての過料は、根拠規範により科す主体と手続が異なる。国の法令違反に対する過料は、非訟事件手続法に基づき、違反者の住所地等を管轄する地方裁判所が検察官の関与のもとで決定により科す。これに対し条例・規則違反に対する過料は、地方自治法第255条の3に基づき、長が科す。この場合、長はあらかじめ相手方に過料の処分をしようとする旨を告知し、弁明の機会を与えたうえで(同条第1項)、行政処分として科さなければならない。後者は不利益処分にあたるため、相手方は不服があれば審査請求や取消訴訟で争える。徴収は地方税の滞納処分の例によることができ、納付しない場合は財産の差押えに進む。同じ過料でも、裁判所が科すか長が科すかで救済の道筋が分かれる点が実務上重要となる。
刑罰との違い
秩序罰は行政上の秩序維持のために科される金銭的負担であって刑罰ではない。そのため刑法総則が適用されず、罪を犯す意思(故意)を要件とせず、刑事訴訟手続によらず、前科としても記録されない。同一の義務違反について、刑罰(罰金・科料)と秩序罰の過料を併科できるかは議論があるが、両者は目的・性質を異にする別個の制裁であるとして、判例は二重処罰の禁止に反せず併科を許容する立場をとる。もっとも、立法・運用の場面では、同じ違反に刑罰と秩序罰を重ねて科すことが過剰な負担とならないよう、いずれの制裁を選ぶかを整理しておく必要がある。軽微な義務違反には刑罰になじまないため秩序罰を用いる、という制裁手段の使い分けが、両者を区別する実益である。
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