全員協議会とは、地方議会のすべての議員が参加して開く非公式の協議会のことである。法令上の根拠はなく、正式な会議(本会議・委員会)ではないため議決権はないが、重要事項の情報共有・意見交換・調整の場として、日本の地方議会で広く慣行的に設置・運営される。
議会が重要案件を本会議で扱う前に、議員全員で情報を共有し論点をすり合わせておきたい場面は多いが、本会議・委員会だけではそうした場が確保しにくい。全員協議会は、地方自治法にも各種法令にも明文の根拠を持たない慣行的な会議体で、「全協」と略され、全議員が参加して情報共有・意見交換・調整を行う。
開催は議長が召集し、記者・傍聴者の出席を認めるかは議会ごとに異なる。首長・執行機関が重大政策を議会に説明する場として、また議員間で意見をすり合わせる場として機能する。公式の本会議・委員会と違い発言が記録に残らない場合もあり、率直な意見交換がしやすいとされる一方、非公開での「談合」的な使い方が批判されることもある。
利用される主な場面
全員協議会が召集される主な場面は四つある。第一に行政が重要な政策・計画・事業を議会に説明する場(本会議での質疑に先立つ概要説明)、第二に緊急・重大な案件が生じた際の速報・情報共有(災害発生・重大事件等)、第三に議員間で意見調整が必要な場合(議会改革・議員報酬の見直し等)、第四に他自治体視察の報告である。執行機関が全員協議会で説明した内容は後の本会議・委員会での質疑に影響するため、首長・部長の説明が議員の賛否判断の事前情報として大きな役割を果たす。
公開性と透明性の課題
全員協議会は正式な会議でないため、会議録の作成義務・公開義務が法定されていない。傍聴を認めない自治体や、会議内容を議事要旨のみ公開する自治体もある。議会基本条例や情報公開条例の制定を機に、全員協議会の公開ルールを明文化する議会も増えている。政策の事実上の決定が非公開の全員協議会で行われ、本会議が形式化するという批判から、過度の依存を見直す動きもある。会議録を作成・公開する例も広がりつつあり、説明責任と率直な議論のしやすさをどう両立させるかが各議会の論点となっている。
議会運営委員会との違い
議会運営委員会(議運)が議会の議事日程・会期・運営に関する調整を行う常設の委員会(地方自治法第109条の2)であるのに対し、全員協議会は全議員を対象とした非公式の会議体であり、委員外議員も参加できる。議運は議長の諮問機関として法的根拠を持つが、全員協議会は慣行によって運営される。議運が議事の進め方という「手続」を扱うのに対し、全員協議会は政策の中身そのものを全議員で共有・調整する場であり、両者は補完的に使い分けられる。
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