枠配分方式とは、予算編成において財政担当課が部局ごとに一般財源等の上限額(枠)をあらかじめ配分し、部局が枠の範囲内で所管事業への配分を自ら決める編成手法である。財政課が要求を1件ずつ審査する一件査定方式と対をなす。
財政課が数千件の要求事業をすべて査定する編成は、事業の現場を知らない担当が細部を削る消耗戦になりやすく、原課には「どうせ削られるから多めに要求する」という駆け引きを常態化させる。枠配分方式はこの構図を変えるために、配分の判断を事業を知る部局へ委ね、財政課は総額の管理と政策的経費の審査に集中するという分業を採る。2000年代に地方分権と行政改革の流れの中で広がり、包括予算制度の名称で運用する団体もある。配るのは要求の上限ではなく使える財源の枠そのものである点で、要求段階の伸び率を切るシーリングとは性格が異なる。実際には経常的経費を枠配分、新規・投資的経費を一件査定とする併用が主流で、枠の設定方法と部局へのインセンティブ設計が制度の出来を左右する。
枠の設定と運用の型
枠の算定は、前年度の一般財源充当額をベースに、中期的な収支見通しから導いた乗率(たとえば対前年度97%)を掛ける方式が標準である。対象は部局の裁量が利く経常的経費・ソフト事業で、人件費・公債費のような義務的経費や大型の投資的経費、首長の重点政策枠は対象外として別に査定する併用設計が大半を占める。部局内のスクラップ・アンド・ビルドは部局の責任で行わせ、節減を生み出した部局に節減額の一部を翌年度の枠として還元するインセンティブを組み込む例もある。枠配分の結果はそのまま部局の予算原案となるため、部局側にも事業の優先順位を説明する査定力が要るようになり、財政課と原課の役割分担が編成全体で組み替わる。
長所と限界
長所は、事業の実情を知る部局が取捨選択することによる配分の質の向上、過大要求と一律カットの応酬の解消、財政課の査定負荷の軽減である。限界も明確で、枠が前年度実績を基準とする以上、部局間の配分は固定化しやすく、政策の重点を部局横断で移す再配分は枠配分単独では起こらない。財政悪化局面で枠を一律に縮めると、部局はまず新規・臨時の事業から削るため、事業の新陳代謝が止まる副作用も知られる。このため重点政策の別枠査定、行政評価との接続、数年ごとの枠の組み直しを併せて設計し、枠配分を「現状維持の自動化」にしない工夫が制度運用の核心になる。
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