官製ワーキングプアとは、国や地方公共団体が非正規の職員を低い賃金・不安定な雇用で用いることにより、公的部門の内部に生じる働く貧困層を指す語である。
住民の暮らしを支えるはずの役所が、その担い手である非正規職員を低賃金と不安定雇用に置いている——官製ワーキングプアは、この公的部門が生む働く貧困という逆説を批判的に名づけた言葉である。図書館員、相談員、保育士、事務補助など、住民サービスの最前線を担う職員の多くが非正規で、地方公務員のおよそ五人に一人が非正規との指摘もある。二〇二〇年度に始まった会計年度任用職員制度は、こうした非正規の任用根拠と処遇を全国で統一したが、一会計年度ごとの任用や処遇の水準から、貧困の固定化につながるとの批判が続く。定員管理と財源の制約のなかで住民サービスをどう維持するかという、自治体の構造的な課題と結びついている。
会計年度任用職員制度との関係
二〇二〇年度に施行された会計年度任用職員制度は、それまで自治体ごとにばらばらだった臨時・非常勤職員の任用を整理し、期末手当の支給など処遇改善の側面も持っていた。しかし任用は一会計年度ごとで、毎年度あらためて選考を受ける建て付けであり、月給が下がる例や雇用の不安定さが残る点が問題視される。制度が非正規雇用を正規化したというより、低処遇のまま正当化・固定化したのではないか、という批判の文脈で官製ワーキングプアの語が用いられる。制度の趣旨と運用実態のずれが、この語が指す問題の中心にある。
なぜ公的部門で生じるのか
官製ワーキングプアは、定員管理による正規職員の抑制と、限られた財源の下で増える行政需要に応えるため、非正規職員への依存が進んだ結果として説明される。専門性の高い相談業務や対人サービスを、低い賃金の非正規が継続的に担う構造が広がり、官民の格差是正を指導する立場の行政が自ら不安定雇用を生んでいるという指摘につながった。住民サービスの質と職員の処遇は表裏の関係にあり、人件費を抑えれば担い手の経験が蓄積されず、サービスの継続性が損なわれる。財源・定員・サービス水準のどれを優先するかという、自治体経営の選択がこの問題の根にある。
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