国の法律が定めていない事柄でも、あるいは法律の枠内で上乗せ・横出しの規制をかけるにも、自治体が自前の根拠を持てるのは自治立法権があるからであり、これは団体自治を制度として支える中核的権能である。その担い手と対象は分かれており、住民の権利を制限し義務を課すような規範は原則として議会の議決による条例によらなければならない一方、長は規則によって、行政委員会はその所管事務についての規則等によって、それぞれの権限に属する事項を定める。実務では、ある事項を条例で定めるべきか規則で足りるか(条例事項と規則事項の切り分け)、罰則を設けられるのは条例に限られること、法令との抵触をどう判断するか(いわゆる法律先占論と徳島市公安条例事件以降の判例理論)が日常的な論点になる。地方分権改革により機関委任事務が廃止され自治事務が拡大したことで、自治立法権の及ぶ範囲は実質的に広がった。条例による独自課税や独自の手続規律など、地域政策を法的に裏づける手段として、その理解は政策法務の前提となる。
条例と規則の役割分担
自治立法権は、誰が定めるかによって条例制定権と規則制定権に分かれる。住民の権利義務に直接かかわる規範や罰則を伴う規範は、住民代表である議会の議決を経た条例によらなければならないのが原則である。これに対し規則は、長や行政委員会がその権限に属する事務について定めるもので、条例の委任を受けた細目や内部的な事項を規律することが多い。両者の所管が重なる領域では、条例事項と規則事項の切り分けが実務上の課題となる。
法令との関係
自治立法は「法令に違反しない限り」において認められる。かつては法律が規律する領域には条例が及ばないとする考え方も唱えられたが、判例は、法律と条例の趣旨・目的・効果を比較して実質的に矛盾抵触があるかで判断する立場をとり、上乗せ・横出し条例の余地を認めている。地方分権改革による自治事務の拡大は、この自治立法権が活用される基盤を広げた。
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