ジチテン

横出し条例

読み:よこだしじょうれい

意味

横出し条例とは、法律が規制していない物質・施設・行為などを、条例で新たに規制の対象に加える条例をいう。

国の法律が定める規制では地域の課題に届かないとき、自治体は対象そのものを広げて条例で規制できるのか。横出し条例は、法律が規制対象としていない事項を条例で新たに上乗せして規制対象に取り込む手法である。たとえば大気汚染防止法が指定しない物質の排出を条例で規制する場合がこれにあたる。法律が定める基準より厳しい数値を同じ対象に課す上乗せ条例とは、規制を強める方向が異なる。法律と条例が同一事項を規律して抵触しないか(いわゆる法律先占の問題)が論点となるが、最高裁の徳島市公安条例事件判決以降は、法律と条例の趣旨・目的・効果を比較し、法律が全国一律の規制を意図していなければ条例による横出し・上乗せは許されると解されている。

上乗せ条例との区別と適法性の判断枠組み

横出し条例は、法律が規制していない対象を条例で新たに規制範囲に加えるものであり、法律と同じ対象により厳しい基準を課す上乗せ条例と対をなす。いずれも法律と条例が同一分野を規律する場面で、両者が矛盾抵触して条例が違法・無効とならないかが問われる。この点について最高裁は徳島市公安条例事件判決(昭和50年9月10日)で、条例が法律に違反するかは両者の対象事項と規定文言の対比だけでなく、それぞれの趣旨・目的・内容・効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかで判断するという枠組みを示した。法律が全国一律に同一内容の規制を施す趣旨でなければ、地方の実情に応じた別段の規制を条例で定めることは妨げられないとされ、横出し・上乗せ条例の適法性はこの基準で検討される。

環境規制での活用と授権規定

横出し・上乗せの手法は、大気汚染防止法・水質汚濁防止法などの環境規制で典型的に用いられてきた。これらの法律には、都道府県が条例でより厳しい基準を定めうることを明示する授権規定が置かれており、その範囲では法律自身が条例による規制強化を予定している。一方、法律に明文の授権がない事項について横出し条例を制定する場合は、徳島市公安条例事件の判断枠組みに照らし、当該法律が当該事項を放置する趣旨か、全国一律規制を意図する趣旨かを個別に検討する必要がある。自治体が独自の規制を設けるにあたっては、根拠法の規制の射程と授権の有無を確認したうえで、条例制定権の限界を踏まえて立案することになる。

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