意見表明等支援事業とは、児童福祉法第6条の3第17項に基づき、児童相談所の一時保護や施設入所措置などの対象となる児童の意見・意向を意見聴取などの方法で把握し、それを勘案して児童相談所、都道府県その他の関係機関との連絡調整を行う事業である。
一時保護や施設入所は子ども本人の生活を根こそぎ変える決定なのに、当の子どもの声は誰がどう聴くのか。2022年の児童福祉法改正はこの問いに二段構えで答えた。第一に、児童相談所が在宅指導・施設入所・里親委託・一時保護などの措置を決定・変更・解除する際、子どもの意見・意向を年齢や発達の状況に応じた方法で把握する意見聴取等措置が義務付けられた。第二に、その実質を担保する仕組みとして、子どもの側に立って声を引き出し関係機関に伝える意見表明等支援事業が法定化され、都道府県などに実施の努力義務が課された。支援を担う意見表明等支援員(こどもアドボケイト)は、行政や施設から独立した立場で一時保護所や施設を訪ね、子どもの話を聴き、本人が望む形で児童相談所や児童福祉審議会に意見を届ける。子どもの権利条約第12条の意見表明権を児童福祉行政の手続に組み込んだものと位置付けられ、2024年4月から施行されている。
意見聴取等措置との二段構え
児童福祉法第33条の3の3は、児童相談所長や都道府県が在宅指導、施設入所、里親委託、一時保護などの措置を採る場合や、変更・解除する場合に、児童の意見・意向を勘案して判断するため、意見聴取その他の方法で把握する措置を義務付けた。緊急の一時保護では事後の聴取も許されるが、原則は決定の前に聴くことにある。意見表明等支援事業はこの義務を子どもの側から支える装置で、聴取の場での言語化を手伝い、聴かれた意見がどう扱われたかを子どもに返す役割まで含む。把握した意見に拘束力はないものの、判断の勘案要素として記録に残るため、児童相談所の決定過程の透明化と、子ども本人の納得の調達という二つの機能を併せ持つ。
意見表明等支援員(こどもアドボケイト)の独立性
事業の担い手である意見表明等支援員は、子どもの最善の利益を代弁する者ではなく、子ども自身の意見をそのまま伝えるマイク役であることが役割の核心とされる。児童相談所や施設の職員が聴くと、処遇への遠慮や不利益への不安から本音が出にくいため、国の示した指針は支援員を措置や処遇の決定権者から独立させる体制を重視し、都道府県は弁護士会、NPO、大学などに養成研修と派遣を委託する形で体制を作っている。傾聴と意見形成の支援、本人の同意に基づく代弁、守秘が活動の基本で、児童福祉審議会への意見申立ての援助も想定される。施設を定期訪問して子どもと関係を作ってから聴く訪問アドボカシーの手法が、先行する自治体で試行されてきた。
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