ジチテン

発生主義

読み:はっせいしゅぎ

意味

発生主義とは、現金の収支ではなく、経済的な事実が発生した時点で費用・収益を認識する会計の記帳原則である。

現金主義の官庁会計では、現金が動いた年度にしか費用を計上しないため、庁舎を建てた年に巨額の支出が立つ一方、その後何十年も使い続ける間のコストは帳簿に表れない。発生主義は、資産を使ったことによる価値の目減り(減価償却)や、将来支払う義務(引当金)を、現金が動かなくても発生した時点で費用として認識する考え方である。

これにより、行政サービスの本当のコストを年度ごとに均して把握できる。地方公会計統一的な基準で発生主義を求めたのは、現金主義の決算だけでは見えないストック情報(資産・負債)とフルコスト情報を補うためである。

注意すべきは、発生主義の財務書類が現金主義の予算・決算に取って代わるわけではない点である。予算の議決・執行は引き続き現金主義の歳入歳出で行われ、発生主義の財務書類はそれを補完する位置づけにとどまる。両者は併存し、職員は2つの会計を使い分けることになる。

現金主義との併存という宿命

民間企業は発生主義一本だが、自治体は予算統制を担う現金主義の官庁会計と、財政の実態を映す発生主義の地方公会計が併存する。予算の議決・執行・決算認定地方自治法に基づき現金主義の歳入歳出で行われ、これは住民の代表である議会が公金の使途を事前に統制する仕組みとして変えられない。一方で発生主義の財務書類は、現金主義では見えない減価償却費や退職手当引当金といった将来コストを可視化する。つまり発生主義は現金主義を置き換えるのではなく、決算後に複式簿記で組み替えて補完する。この二重構造のため、職員は同じ取引を2つの会計で扱う負担を負い、発生主義の数値が予算編成にどこまで使えるかが活用上の論点となる。

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