中山間地域を悩ませる、野生動物による農作物や暮らしへの被害がある。鳥獣被害は、シカやイノシシ、サル、カラスなどの野生鳥獣が農作物を食い荒らしたり、生活環境や自然生態系に損害を与えたりする問題を指す。
農林業の担い手の減少や耕作放棄地の拡大などを背景に被害は深刻化し、営農意欲の低下や離農を招く一因となっている。2007年制定の鳥獣被害防止特措法に基づき、市町村は被害防止計画を作成し、捕獲、侵入防止柵の設置、緩衝帯の整備、捕獲の担い手である鳥獣被害対策実施隊の編成などに取り組む。捕獲した個体をジビエとして利活用する動きも広がる。鳥獣の保護と管理を図る鳥獣保護管理法と、被害防止の特措法とが、車の両輪として運用される。
鳥獣被害防止特措法と市町村の役割
野生鳥獣による農林水産業などへの被害に対応する中心的な法律が、2007年(平成19年)制定の鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(鳥獣被害防止特措法)である。同法は、被害防止の最前線に立つ主体を市町村と位置づけ、市町村が被害防止計画を作成して、国の交付金などの支援を受けながら対策を進める仕組みをとる。計画に基づき、捕獲おりや侵入防止柵の整備、捕獲の担い手を確保する鳥獣被害対策実施隊の編成、被害状況の把握などが行われる。狩猟者の高齢化と減少が進むなか、捕獲の担い手をどう確保するかが各地に共通する課題となっている。
捕獲・防護・環境管理という三つの柱
鳥獣被害への対策は、大きく「捕獲」「防護」「環境管理」の三つの柱で組み立てられる。捕獲は、加害個体を減らして被害を直接抑える手段であり、防護は、電気柵やワイヤーメッシュ柵で農地への侵入を物理的に防ぐ。環境管理は、放任果樹や生ごみといった餌場をなくし、耕作放棄地を刈り払って人里と山との緩衝帯をつくることで、鳥獣が人里に近づきにくい環境を整える取組である。これらを組み合わせて初めて効果が上がる。近年は、捕獲した個体を埋設や焼却で処理するだけでなく、食肉(ジビエ)やペットフードとして利活用し、捕獲を地域の資源につなげる試みも各地で広がっている。
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