ジチテン

鳥獣保護

読み:ちょうじゅうほご

意味

鳥獣保護とは、野生の鳥類や哺乳類を保護し、その生息環境を保全するとともに、狩猟を適正化することによって、生物の多様性の確保や生活環境の保全を図る取組みをいう。鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律に基づく。

野生の鳥や獣は、生態系を構成する大切な要素であると同時に、増えすぎれば農作物や生活に被害をもたらす存在でもある。鳥獣保護は、こうした野生鳥獣を守りつつ、人との関わりを適切に調整するための取組みである。

根拠となる法律は、かつては鳥獣の保護に重点を置いていたが、一部の鳥獣が増えすぎて農林業や生態系に深刻な被害を及ぼすようになったことを受けて、保護だけでなく、増えすぎた鳥獣の数を適正な水準に管理することも目的に加えられた。法律に基づき、鳥獣の捕獲は原則として禁止され、狩猟は免許や登録、区域や期間の定めのもとで適正に行われる。鳥獣保護区を指定して鳥獣を手厚く保護する一方、被害をもたらす鳥獣については、計画的に数を減らす管理が進められる。保護と管理という、一見相反する二つの方向を、対象とする鳥獣や地域に応じて使い分ける点に、現在の鳥獣保護の特徴がある。

保護から保護と管理へ

鳥獣をめぐる政策は、保護一辺倒から、保護と管理の両立へと大きく転換してきた。かつては、乱獲などによって減少した鳥獣を守ることが中心的な課題であった。しかし近年は、シカやイノシシなど一部の鳥獣が著しく増加し、農林業への被害、希少な植物の食害による生態系への影響、市街地への出没による生活環境への支障といった問題が深刻化した。これを受けて、法律の名称にも管理という語が加えられ、増えすぎた鳥獣の数を適正な水準まで減らし、その状態に保つ管理が、保護とならぶ柱に位置づけられた。減りすぎた鳥獣は保護し、増えすぎた鳥獣は管理するという、対象に応じた使い分けが行われる。守ることと数を抑えることを、同じ枠組みのなかで扱う点に、現在の鳥獣行政の難しさと特徴がある。

鳥獣被害対策と狩猟者の減少

鳥獣の管理を進めるうえで、現場が直面しているのが、担い手である狩猟者の減少と高齢化である。増えすぎた鳥獣の数を抑えるには、捕獲を実際に担う人手が欠かせないが、狩猟免許を持つ人は減り続け、高齢化も進んでいる。一方で、農山村では、田畑を荒らす鳥獣の被害が深刻で、耕作の意欲の低下や農地の放棄を招き、それがまた鳥獣の生息域の拡大につながるという悪循環も指摘される。こうしたなか、市町村や地域では、被害を防ぐ柵の設置、捕獲の担い手の確保や育成、捕獲した鳥獣を食肉などとして活用する取組みなどが進められている。鳥獣の管理は、法律の枠組みだけでなく、それを担う人をどう確保し、地域ぐるみで被害に立ち向かう体制をどうつくるかにかかっている。

つながりのある用語

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