ジチテン

鳥獣被害防止特別措置法

読み:ちょうじゅうひがいぼうしとくべつそちほう

別名:鳥獣被害防止特措法
意味

鳥獣被害防止特別措置法とは、農林水産業に係る鳥獣による被害の防止のための特別措置に関する法律(平成19年法律第134号)の通称で、市区町村が主体となって鳥獣被害対策を進める枠組みを定めた法律である。市区町村による被害防止計画の作成と、鳥獣被害対策実施隊の設置を柱とする。

シカやイノシシ、サルによる農作物被害は中山間地域の営農意欲を削ぎ、耕作放棄を加速させる。捕獲は鳥獣保護管理法、農業は別の所管と縦割りになりがちだった対策を、市区町村を主体に束ねたのがこの法律である。

法は市区町村に被害防止計画の作成を促し、計画に基づく取組へ国が交付金(鳥獣被害防止総合対策交付金)で財政支援する仕組みをつくった。計画には対象鳥獣、捕獲数の目標、侵入防止柵の整備、緩衝帯の設置などを盛り込む。実働部隊として鳥獣被害対策実施隊を設けることができ、隊員に任命された猟友会員などは非常勤の公務員として位置づけられ、狩猟税の軽減や万一の際の公務災害補償を受けられる。捕獲した鳥獣をジビエとして利活用する動きもこの枠組みの中で広がった。市区町村は計画作成・実施隊の編成・捕獲許可(鳥獣保護管理法の権限委譲を受けた場合)など、対策の中核を担う。

鳥獣被害対策実施隊の位置づけ

この法律が設けた特徴的な仕組みが鳥獣被害対策実施隊である。市区町村長が被害防止計画に基づいて設置し、隊員には自治体職員のほか地域の猟友会員などが任命される。任命された民間隊員は非常勤特別職の地方公務員として扱われ、狩猟税の軽減措置、ライフル銃所持許可の要件緩和、捕獲活動中の事故への公務災害補償といった支援を受けられる。捕獲の担い手が高齢化・減少するなかで、捕獲を担う人材を公的に位置づけて確保する狙いがある。隊の編成と運営は市区町村の判断に委ねられ、地域の被害状況に応じた体制づくりが要る。

鳥獣保護管理法との関係

鳥獣の捕獲そのものを規律するのは鳥獣保護管理法であり、本法はその捕獲を農林水産業被害の防止という目的で市区町村主体に束ねる役割を持つ。捕獲許可の権限は本来都道府県知事にあるが、被害防止計画を作成した市区町村は都道府県から許可権限の委譲を受けられ、迅速な捕獲が可能になる。両法は目的(保護管理と被害防止)が異なりながら捕獲という行為で交わるため、現場では二つの法の手続を踏まえた運用が要る。捕獲個体の処理ではジビエ利活用や焼却・埋設の課題も生じる。

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