地方法人税とは、法人の所得に対して国が課す国税で、その税収の全額を地方交付税の原資に充てる税である。
名称に「地方」と付くが、地方法人税は自治体が課す地方税ではなく国が課す国税である。この紛らわしさの背景には、地域間の税源の偏在を是正するという制度の狙いがある。法人の本社や工場が集まる都市部に法人住民税が偏る問題を緩和するため、法人住民税の法人税割の税率を引き下げ、その引き下げ分を国税の地方法人税として吸い上げる仕組みである。
吸い上げた地方法人税の税収は、その全額が地方交付税の原資(交付税及び譲与税配付金特別会計)に繰り入れられ、基準財政需要額と収入額の差に応じて全国の自治体へ再配分される。これにより、企業が集積する団体の税収を、税源の乏しい団体の財源として配り直す効果が生まれる。
自治体の実務担当者にとっては、自団体が直接課税・徴収する税ではないため日々の事務には現れないが、法人住民税の税率改正と交付税の原資構成を理解するうえで欠かせない。法人住民税の一部が国税化されて交付税へ回る経路を押さえないと、地域経済が好調でも法人住民税が思うように伸びない理由を説明できない。
「地方法人税」と「地方法人特別税/特別法人事業税」の混同に注意
税源の偏在是正を目的に法人課税を国へ吸い上げて再配分する仕組みは、名前のよく似た複数の制度が時期を変えて積み重なっており、実務で混同されやすい。地方法人税は、法人住民税法人税割の税率引き下げ分を国税化し、その全額を地方交付税の原資に充てるものである。一方、特別法人事業税(かつての地方法人特別税の後継)は、法人事業税の一部を国税化したうえで、交付税ではなく特別法人事業譲与税として人口を基準に都道府県へ譲与し直す。両者は「どの地方税を吸い上げるか(住民税か事業税か)」「再配分の経路が交付税か譲与税か」が異なる別制度である。偏在是正という目的は共通するが、財源の入口と出口が違うため、税収見込みや交付税・譲与税の積算では区別して扱う必要がある。
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