老齢厚生年金とは、厚生年金保険の被保険者期間を持つ人が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たした場合に原則65歳から受け取る、現役時代の報酬に比例した額の老齢給付をいう。
「2階建て」と呼ばれる日本の年金の2階部分は、なぜ人によって額がまるで違うのか。老齢厚生年金は、会社員や公務員として厚生年金保険に加入した期間が1月でもあれば、受給資格期間10年を満たすことで老齢基礎年金に上乗せして支給される老齢給付である。加入期間の長さだけで決まる基礎年金と異なり、額は在職中の標準報酬(給与・賞与の水準)と加入月数に比例するため、同じ年数働いても人により大きく異なる。市町村の窓口は厚生年金の手続を直接扱わないが、住民からの年金相談の入口になるほか、介護保険料や後期高齢者医療保険料の特別徴収、住民税の公的年金等控除など、老齢厚生年金の額を前提とする事務が多い。繰上げ・繰下げや在職老齢年金の仕組みは、退職後の生活設計の相談で必ず登場する論点である。
特別支給の老齢厚生年金と支給開始年齢
老齢厚生年金の支給開始は原則65歳だが、かつて60歳だった支給開始年齢を段階的に引き上げた経過措置として、生年月日に応じて60歳台前半に「特別支給の老齢厚生年金」が支給される世代がある。男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前に生まれた人が対象で、それより後に生まれた世代には特別支給はない。特別支給は繰下げの対象にならず、請求が遅れても増額されないため、対象世代には到達時に確実に請求させることが年金相談の定番の注意点になっている。65歳以降は本来の老齢厚生年金と老齢基礎年金を受け、繰下げにより1月あたり0.7%、最大75歳まで84%の増額を選択できる。
在職老齢年金による支給停止
働きながら老齢厚生年金を受ける場合、総報酬月額相当額と年金の基本月額の合計が支給停止調整額を超えると、超えた分の2分の1に相当する年金額が支給停止される。この在職老齢年金の仕組みは就労意欲を削ぐとの批判が続き、支給停止調整額は段階的に引き上げられてきた(調整額は年度ごとに改定される)。停止されるのは厚生年金部分だけで老齢基礎年金は全額支給される点、70歳以降は保険料負担なしで在職老齢年金の調整だけが続く点など、細部は誤解が生じやすい。高齢者雇用の拡大とともに、再任用やシルバー人材センターでの就業と年金の関係を尋ねる相談は市町村窓口にも持ち込まれる。
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