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ジチテン

温泉法

読み:おんせんほう

意味

温泉法とは、温泉の保護と適正利用、採取に伴う可燃性天然ガスによる災害の防止のため、温泉を掘削し、採取し、公共の浴用・飲用に供する各段階に都道府県知事等の許可を求める法律である。

旅館事業者から「新しく源泉を掘りたい」という相談が来たら、どの法律のどの手続を案内するのか。温泉の掘削は土地所有者でも自由にはできず、温泉法に基づく都道府県知事の許可が要る(第3条)。温泉は地下でつながる有限の資源であり、新規の掘削が既存源泉の湧出量や温度を脅かすおそれがあるときは許可しないことができるため、都道府県は審議会への諮問や既存源泉からの距離基準の運用で源泉の保護を図ってきた。湧出させた温泉を旅館や日帰り施設で公共の浴用・飲用に供するには、別途利用許可が必要で(第15条)、この権限は保健所設置市・特別区では市長・区長が持つ。掘削から採取までの許可は自然保護部局、利用許可と衛生監視は保健所という分担で、一つの源泉に複数の許認可が積み重なる構造である。温泉地を抱える自治体では入湯税観光振興とも結び付く、環境と衛生、観光にまたがる行政分野といえる。

掘削許可と源泉保護の運用

掘削許可の審査の核心は、申請地の掘削が既存源泉に影響を及ぼすかどうかの判断である。法は「温泉のゆう出量、温度又は成分に影響を及ぼすと認めるとき」等に許可を拒めると定めるが、地下の温泉帯水層の挙動を個別に立証するのは難しいため、既存源泉から一定距離内の新規掘削を原則として認めない距離規制を要綱審査基準で定める都道府県が多数を占める。審査には自然環境保全審議会等の温泉部会への諮問を経るのが通例で、温泉資源の枯渇が現実化した地域では、条例で独自の保護地域を上乗せする例もある。2007年に東京都渋谷区の温泉施設で発生した爆発事故を受けた法改正では、温泉の採取に伴って湧出する可燃性天然ガス(メタン)による災害防止のため、温泉採取の許可と濃度確認の制度が加わった。

浴用利用許可と成分掲示

温泉を公共の浴用・飲用に供する利用許可(第15条)は、施設の衛生管理と表示の適正を担保する仕組みで、温泉施設には温泉の成分、禁忌症、入浴上の注意の掲示が義務づけられる(第18条)。掲示の根拠となる成分分析は登録分析機関に依頼し、10年ごとに更新しなければならない。源泉かけ流しか循環ろ過か、加水・加温の有無の表示をめぐっては、2004年に各地の温泉表示問題が社会問題化して運用が厳格化された経緯がある。浴場としての営業自体には公衆浴場法の営業許可が別に必要で、レジオネラ症対策の浴槽水管理は主にそちらの体系で監視される。温泉法の利用許可と公衆浴場法の営業許可という二本立てを正しく案内できることが、保健所窓口の基本動作になる。

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