ジチテン

入湯税

読み:にゅうとうぜい

意味

入湯税とは、地方税法第701条の2に基づき市町村が鉱泉浴場(温泉旅館・公衆浴場等)における入湯行為に課する法定目的税のことである。税収は環境衛生施設・鉱泉源の保護・観光の振興を目的とする費用に充てなければならない(地方税法第701条の4)。

温泉地には観光客が集まる一方、環境衛生施設や鉱泉源の保護、観光振興には費用がかかり、その負担を地元住民だけに求めるのは公平でない。入湯税は、鉱泉浴場での入湯行為に課す目的税であり、温泉を利用する観光客に負担を求めてその費用に充てるところに本質がある(地方税法第701条の2)。

温泉地を有する市町村が課す税で、税率は標準で入湯客1人1日150円(同法第701条の3)だが条例で変更できる。徴収は特別徴収の方法により、温泉施設の経営者(特別徴収義務者)が入湯客から徴収して市町村に納める。税収は環境衛生施設・鉱泉源の保護・観光振興などの費用に充てなければならない目的税である(同法第701条の4)。

入湯税の課税目的と使途

地方税法第701条の4は入湯税の使途を、環境衛生施設の整備、鉱泉源の保護管理施設の整備、消防施設その他消防活動に必要な施設の整備、観光の振興(観光施設の整備を含む)、観光振興に要する費用の5項目に限定する。目的税(使途限定税)であるため、税収を一般財源に繰り入れることは許されない。温泉観光地の自治体では、この税収を観光案内所・足湯施設の整備・観光PRイベント等の財源として活用しており、税の使い道が観光客の受益と結びつく目的税である点が一般財源の税とは異なる。

特別徴収義務者の事務

温泉旅館・公衆浴場等の施設経営者は「特別徴収義務者」として市町村に申告・納付義務を負い、宿泊者や日帰り利用者から料金とともに入湯税を徴収して定期的に市町村に納める。特別徴収義務者は毎月または四半期ごとに入湯税徴収簿(入湯者数・徴収税額の記録)を作成・保管し、申告書を提出する。市町村の観光・税務担当課が特別徴収義務者への説明・相談対応・申告書の確認を行う。入湯税は施設の経営者が客から預かって納める仕組みのため、徴収した税を正しく申告・納付しているかの確認が市町村の事務の要となり、徴収漏れや申告の誤りは温泉地の貴重な目的財源の取りこぼしにつながる。

宿泊税との違い

入湯税が温泉入浴行為に課する法定税(全国一律の法的根拠)であるのに対し、宿泊税は宿泊行為に課する法定外目的税(自治体の条例に基づく独自税)である。両者は課税客体が異なるため、温泉旅館に宿泊した場合に入湯税と宿泊税の双方が課される場合がある(東京都・大阪府・京都市等で宿泊税が導入された地域では二重の税負担が生じる)。入湯税が全国共通の法律に基づくのに対し宿泊税は自治体が独自に設ける法定外税である点で性格が異なり、温泉地で宿泊税を導入する際には、既存の入湯税との二重負担をどう調整するかが論点となる。

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