コミュニティFMとは、市区町村内の限られた区域を放送対象地域とする小規模なFM放送局であり、放送法上はコミュニティ放送と呼ばれる基幹放送の一区分である。1992年に制度化され、空中線電力は20ワット以下に制限される。
県域のテレビやラジオは広域の災害を伝えても、目の前の町のどの避難所が開き、どの道が通れないかまでは伝えきれない。この「最後のきめ細かさ」を電波で担えるのがコミュニティFMであり、平時は地域の話題や行政情報を流し、災害時には安否情報や給水所の場所のような生活密着の情報を放送する。自治体が第三セクター方式で出資したり、広報番組の制作・放送を委託したりと、運営との結びつきが深い局が少なくない。受信側では、緊急放送時に自動で電源が入り最大音量で鳴る緊急告知FMラジオを自治体が配布し、戸別受信機の安価な代替とする例がある。1992年の制度化以降全国に広がり、東日本大震災では被災地の局が臨時災害放送局に移行して災害情報を流し続けたことで、防災インフラとしての評価が定まった。
緊急告知FMラジオ——戸別受信機の安価な代替
コミュニティFMの電波に重ねた起動信号で自動的に電源が入り、最大音量で緊急放送を流す受信機が緊急告知FMラジオである。防災行政無線の戸別受信機が1台数万円程度かかるのに対して安価に調達でき、既存のFM放送網を使うため新たな無線設備の整備も要らないことから、コミュニティFMの放送区域を持つ自治体では戸別受信機に代えて配布や斡旋を行う例がある。消防庁も、防災行政無線によらず住民へ災害情報を直接届けうる伝達手段の一つとしてこの方式を整理している。弱点は放送区域がそのまま限界になることで、局の電波が届かない山間部には別の手段を重ねるほかなく、局の経営が立ちゆかなくなれば伝達手段ごと失われるという依存関係も抱える。
災害時には臨時災害放送局へ——増力と移行
災害が起きると、コミュニティFMの免許のままでは空中線電力の上限が壁になる。被災自治体が免許人となる臨時災害放送局を開設し、既存のコミュニティFM局がその放送を受託して出力を増し、放送区域を広げて災害情報を流す移行がこの壁への答えになってきた。東日本大震災(2011年)では被災地のコミュニティFM局が相次いで臨時災害放送局へ移行し、避難所や給水、罹災証明の受付といった生活情報を長期間放送し続けた。平時から地域に聴取者と取材網を持つ局が移行の受け皿になるため、自治体とコミュニティFMが災害時の放送協定を結び、スタジオの非常用電源や仮設送信設備を備えておくことが、この経路を実際に機能させる条件になる。
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