家屋敷課税とは、市町村内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人で、その市町村内に住所を有しない者に対し、個人住民税の均等割を課する課税をいう(地方税法第294条第1項第2号)。ここでいう家屋敷とは、自己又は家族の居住用として住所地以外に設けた、いつでも住める状態にある住宅を指す。
別荘やセカンドハウスを持つ人は、その市町村の道路・消防・ごみ処理といった行政サービスの受益者でありながら、住民でなければ住民税を1円も負担しないのか。家屋敷課税は、この不均衡に対して非居住の受益者に均等割だけの負担を求める応益原則の現れである。対象の典型は別荘、単身赴任で家族を残した自宅、通勤用に借りたマンションの1室などで、他人に貸している住宅は自分が自由に使えないため対象にならない。所得割は課されず均等割のみという軽い負担だが、課税の趣旨を理解されないまま納税通知書が届くと苦情になりやすく、制度説明の丁寧さが問われる税目でもある。実際にその市町村に住所があると認定されれば均等割・所得割とも課する住登外課税に切り替わるため、両者の分水嶺は住所認定にある。
「家屋敷」の意義と対象判定
行政実例等では、家屋敷とは自己又は家族の居住の用に供する目的で住所地以外の場所に設けられた独立性のある住宅で、現に居住していなくても、いつでも自由に居住できる状態にあるものをいうとされる。賦課期日(1月1日)に所有しているか借りているかは問わず「有する」ことが要件である一方、他人に貸し付けている住宅は自由に使えないため該当しない。電気・水道が止まり居住に堪えない状態の空き家を対象から外す扱いも定着している。医師の診療所や弁護士事務所のような事務所・事業所も同号の対象であり、市外在住の開業者に均等割が課される。判定は個別性が強く、各市町村が要綱やQ&Aで運用基準を定めて課税の公平を保っている。
把握と課税の実務
申告書の提出を条例で義務づける市町村が多いものの、自発的な申告は期待しにくく、実務の把握は固定資産税の課税情報(市外在住の家屋所有者)、水道の開閉栓情報、別荘地の管理名簿などとの突合が中心になる。課されるのは均等割のみで、標準税率は市町村民税3,000円・道府県民税1,000円である。国税の森林環境税(年1,000円)は住所を有する者に課されるため、家屋敷課税の対象者には上乗せされない。住所地の市町村でも均等割を納めている人に重ねて課税する制度であるため、二重課税ではないかという問い合わせが定番であり、住所地課税とは別に受益への負担を求める仕組みだという説明を用意しておくことになる。
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