法人後見とは、社会福祉法人やNPO法人等の法人が成年後見人等に選任され、組織として後見事務を行う成年後見の形態をいう。
後見人個人の病気や死亡で、本人の財産管理と身上保護が突然止まるリスクをどう避けるか。個人でなく法人が後見人になる法人後見は、この継続性の問いへの答えとして広がってきた。家庭裁判所は自然人だけでなく法人を成年後見人等に選任でき、社会福祉協議会、社会福祉法人、NPO法人、公益法人等が受け皿になる。担当職員が交代しても受任主体である法人は変わらないため支援が途切れず、複数の職員と運営委員会による組織的な検討ができることから、親族間の対立がある事案や、長期の支援が見込まれる若年の知的障害者の事案に向くとされる。市町村との関わりも深く、障害者総合支援法は地域生活支援事業の必須事業として成年後見制度法人後見支援事業を定め、市町村は法人後見の担い手となる団体への研修や運営支援を担う。成年後見制度の利用促進では、専門職後見人、市民後見人と並ぶ担い手の柱と位置づけられ、中核機関による受任者調整の際の選択肢の一つになっている。
組織で担うことの利点と規律
法人後見の利点は、継続性と組織性に尽きる。個人の後見人であれば、本人より先に後見人が高齢化する事態が避けがたいが、法人であれば数十年に及ぶ後見でも受任主体が存続する。判断に迷う場面でも、担当者一人で抱えず法人内の審査会や運営委員会で検討でき、金銭管理を複数の目で点検することで不正の抑止にもなる。一方で固有の規律も要る。本人と法人の利益が相反する場合、典型的には後見を受任した社会福祉法人が自ら本人へ介護サービスを提供する場合には、サービスの選定が法人の都合に流れない仕組み(担当部門の分離、契約時の第三者の関与等)を備えなければならず、家庭裁判所も選任時にこの点を確かめる。社会福祉協議会が法人後見と日常生活自立支援事業を併せて実施する地域では、判断能力の低下の進行に応じて日常的金銭管理から後見へ引き継ぐ連続的な支援ができる反面、同一法人内での役割の切替えを本人と関係者に明確に示すことが運用の要点になる。
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