ジチテン

日常生活自立支援事業

読み:にちじょうせいかつじりつしえんじぎょう

別名:地域福祉権利擁護事業
意味

日常生活自立支援事業とは、認知症・知的障害・精神障害等により判断能力が低下した人が地域で安心して生活できるよう、社会福祉協議会が福祉サービスの利用援助・金銭管理等の日常生活支援を行う事業のことである。社会福祉法第81条に基づき都道府県・指定都市社会福祉協議会が実施主体となり、市区町村の社会福祉協議会が窓口となって事業を行う。

認知症などで判断能力が落ちはじめた人は、福祉サービスの手続きやお金の管理に不安を抱えるが、成年後見制度を使うほど判断能力を失ってはいない段階がある。日常生活自立支援事業は、判断能力が低下した人の福祉サービス利用援助や金銭管理を社会福祉協議会が支援する事業であり、後見制度の手前の段階で地域での自立した暮らしを支えるところに本質がある(社会福祉法第81条)。

旧称は地域福祉権利擁護事業で、判断能力は残っているが一人では福祉サービスの選択や金銭管理が難しい人を対象とする。成年後見制度が判断能力を失った場合に適用されるのに対し、本事業は判断能力が低下しているが喪失してはいない段階で利用できる点が違いである。利用者は社会福祉協議会と援助契約を結び、生活支援員が本人の意思を尊重して定期的に訪問する。

支援内容

日常生活自立支援事業が提供する支援は主に三つある。介護保険障害福祉サービス申請手続きの補助や苦情申立ての支援を行う福祉サービス利用援助、預金の出し入れや光熱費の支払いを助ける日常的金銭管理、年金証書・通帳・実印などの貴重品を保管する書類等の預かりサービスである。生活支援員が定期的に自宅等を訪問して支援を行い、専門員(社会福祉士等)が支援計画の策定・更新を担う。費用は利用者が一部負担する(1回の訪問につき数百〜千円程度。生活保護受給者は無料)。

成年後見制度との連携

日常生活自立支援事業は判断能力が低下した段階での「入口」として機能し、判断能力がさらに低下して自己決定が困難になった場合には成年後見制度(法定後見・任意後見)への移行を促す。社会福祉協議会の専門員が判断能力の変化を継続的に見守り、成年後見制度の利用が必要と判断した場合は市区町村や家庭裁判所への申立てを支援する。市区町村が実施する「成年後見制度利用促進計画」では、日常生活自立支援事業からの移行支援ルートが重要な構成要素となる。

実施上の課題

全国の事業実施件数は増加傾向にあるが、認知症などで自ら申込みできない人をどう見つけて支援につなぐかという支援対象者の発見・アウトリーチ、ボランティアや契約職員に頼りがちな生活支援員の確保、一人で多数のケースを担う専門員の業務量の増加といった課題が各地で共通している。市区町村の権利擁護担当課が社会福祉協議会と連携して利用者の発掘・紹介を行う仕組みの構築が重要となる。判断能力が低下した人は自ら支援を求めにくいため、本人が制度を知らないまま放置されることも多い。地域包括支援センター民生委員と連携して支援を要する人を早期に見つけ、必要なら成年後見へつなぐ流れをつくることが権利擁護の実効性を高める。

つながりのある用語

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