住民が「市役所」「町村役場」「県庁」と呼ぶ場所は、法的には地方公共団体がその事務を処理するために位置を定める事務所であり、その呼称と設置には一定の制度的な背景がある。市の事務所は役所、町村の事務所は役場、都道府県の事務所は都道府県庁と慣行的に呼び分けられ、これらの主たる建物が本庁舎、出先の建物が支所・出張所等である。地方自治法は、事務所の位置を住民の利用に最も便利であるよう、官公署との関係や交通事情等に配慮して定めるべきこと、位置を定め又は変更する条例の制定改廃には議会の特別多数(出席議員の3分の2以上)の同意を要することを定めており、庁舎の移転が大きな政治的論点になるのはこのためである。実務では、本庁・支所の機能配分、窓口の配置、老朽化に伴う庁舎の建替え・整備、災害時の業務継続のための代替庁舎の確保などが課題となる。呼称は地域や文脈により揺れるが、いずれも同一の制度概念に根ざしている点を押さえておくと、関連する事務の理解が整理しやすい。
役所・役場・都道府県庁という呼称
地方公共団体の事務所は、団体の種類に応じて呼称が異なる。市の事務所は一般に役所(市役所)、町村の事務所は役場(町村役場)、都道府県の事務所は都道府県庁(県庁・府庁・道庁・都庁)と呼ばれる。これらはいずれも、地方自治法第4条にいう「事務所」という同一の制度概念にあたり、機関そのものを指す場合と、その建物(庁舎)を指す場合とがある。
本庁舎と事務所の位置の定め
主たる事務所の建物を本庁舎といい、これに対して支所・出張所等の従たる事務所が置かれる。事務所の位置は条例で定めるものとされ、住民の利用の便、他の官公署との関係、交通事情などを考慮して定めなければならない。位置を定め又は変更する条例の制定改廃には議会において出席議員の3分の2以上の同意を要するという加重要件が課されており、庁舎の移転・建替えが慎重な手続を要する事項となっている。
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