外国籍の職員は、自治体の管理職へ昇任する道を閉ざされてもよいのか。東京都に保健師として採用された特別永住者が、管理職選考の受験を国籍を理由に拒まれ、その取扱いが憲法の保障する平等や職業選択の自由に反すると主張して争った。二審は受験拒否を違法としたが、最高裁は2005年に大法廷でこれを覆した。住民の権利義務を左右する公権力の行使に外国籍の職員が携わることを、わが国の法体系は本来想定していないという論理である。地方公務員における外国人の任用がどこまで開かれ、どこで線が引かれるのかを示した判断として、自治体の人事運用に直接かかわる事件である。
受験資格と国籍をめぐる争点
争点は、地方公共団体が管理職選考の受験資格を日本国籍を有する者に限ることが、憲法十四条の平等原則や二十二条の職業選択の自由に反しないかであった。最高裁は2005年1月26日の大法廷判決で、住民の権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、または地方公共団体の重要な施策に関する決定を行う公務員を公権力行使等地方公務員と位置づけた。そのうえで、こうした職への就任には国民主権の原理に照らし日本国籍を有することが原則として想定されているとし、国籍による受験制限を違憲とはいえないと判断した。
当然の法理の任用への波及
この判決は、公権力の行使や公の意思の形成への参画に携わる公務員には日本国籍を要するとする、いわゆる当然の法理を地方公務員の任用の場面で具体化したものとして位置づけられる。東京都は管理職を一体として運用しており、その昇任過程の入口である選考から外国籍の職員を除くことも一律に違法とはいえないとされた。一方で、判決には強い反対意見が付され、職務の内容を問わず管理職全体を国籍で区切ることへの批判も示された。外国籍職員の採用や任用の範囲をどう定めるかを検討する自治体に、判断の枠組みを与える事件となっている。
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