ジチテン

仮の義務付け

読み:かりのぎむづけ

意味

仮の義務付けとは、義務付け訴訟の提起後に、本案判決を待っていては償うことのできない損害を避けるため、裁判所が仮に行政庁に一定の処分をすべき旨を命じる仮の救済の制度をいう。

保育所の入所や生活保護の開始を求めて義務付け訴訟を起こしても、判決まで何か月もかかれば、その間に生活が立ち行かなくなる。仮の義務付けは、こうした待てない事情があるとき、本案の決着前に暫定的に処分を命じてもらう仕組みである。

2004年の行政事件訴訟法改正で、義務付け訴訟の創設にあわせて設けられた。要件は厳しく、償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ本案について理由があるとみえることが求められ、さらに公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは認められない。申立てが認められれば、行政庁は仮に処分をしたのと同じ状態に置かれる。差止訴訟に対応する仮の差止めと並ぶ、攻めの仮の救済として位置づけられる。

厳格な要件

仮の義務付けは、義務付け訴訟が適法に提起されていることを前提に、行政事件訴訟法が定める要件を満たす場合に認められる。第一に、義務付けの訴えに係る処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること、第二に本案について理由があるとみえること、この二つを積極要件とする。加えて、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは認められないという消極要件がある。執行停止が「重大な損害」を要件とするのに対し、仮の義務付け・仮の差止めは「償うことのできない損害」というより高い緊急性を求めており、認容のハードルは相対的に高い。

仮の差止めとの対をなす位置づけ

仮の義務付けは、行政庁に積極的に一定の処分をさせる仮の救済である。これに対し仮の差止めは、行政庁が処分をしようとしている場合にこれを暫定的に差し止める消極的な仮の救済であり、両者は義務付け訴訟・差止訴訟という本案の対応関係を反映して対をなす。いずれも本案訴訟の係属を前提とし、執行停止と同じく内閣総理大臣の異議の制度が準用される。生活保護の開始決定や保育所入所承諾など、給付や許認可を待てない事案で活用される。

つながりのある用語

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