本文へスキップ
ジチテン

環境保全型農業直接支払交付金

読み:かんきょうほぜんがたのうぎょうちょくせつしはらいこうふきん

別名:環境保全型農業直接支払
意味

環境保全型農業直接支払交付金とは、化学肥料と化学合成農薬の使用を地域の慣行から原則5割以上低減する取組とあわせて、地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動を行う農業者団体等を、面積に応じて支援する交付金である。多面的機能支払交付金、中山間地域等直接支払制度とともに日本型直接支払を構成する。

環境にやさしい農業は、手間の増加と収量減のコストを農家が抱え込む構造のままでは広がらない。慣行栽培との差を公費で埋め、環境保全の効果を農業の多面的機能への対価として直接支払うのが本交付金で、2015年度からは農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律に基づく安定した制度に位置付けられた。対象はカバークロップ(緑肥)の作付けや堆肥の施用、有機農業などの営農活動で、取組ごとに10アール当たりの単価が設定され、最も手厚い有機農業は10アール当たり12,000円が基本である。費用は国が2分の1、都道府県市町村が4分の1ずつを負担し、農業者の組織する団体等が市町村に計画を提出して取り組む。みどりの食料システム戦略が2050年に有機農業の面積を100万ヘクタールへ広げる目標を掲げたことで、その実現手段としての役割が増している。

日本型直接支払の中の役割分担——三制度の弁別

同じ日本型直接支払でも、多面的機能支払交付金が農地や水路など地域資源の共同保全活動を、中山間地域等直接支払制度が条件不利地域での農業の継続を支えるのに対し、本交付金だけは個々の営農の中身——栽培方法そのもの——に着目して支払う。このため実施主体も集落単位の活動組織ではなく営農を行う農業者の団体で、同じ農地で多面的機能支払と重複して受け取ることもできる。市町村の農政担当は三制度の事務を一体で扱うことが多いが、要件、単価、実施主体の建て付けがそれぞれ異なるため、集落への説明では「地域の共同活動への支払か、営農方法への支払か」という軸で切り分けると混乱が少ない。交付実務では取組の実施状況と面積の確認、生産記録や資材の使用記録の保管が要件になっており、書類の不備は返還事由になるため、団体の事務局を担う農協や市町村の確認体制が運用の要になる。

単価と取組の設計——なぜ「5割低減とセット」なのか

支払の対象は、化学肥料・化学合成農薬の5割以上低減という基礎条件の上に、カバークロップ、堆肥の施用、有機農業など環境保全効果が確認された取組を積み増す二階建ての構造である。慣行レベルの栽培にそのまま上乗せ補助をすれば単なる所得補填になるため、環境負荷の低減という公益への対価であることを要件の構造で担保している。単価は効果と掛かり増しの経費に応じて取組別に定められ、有機農業12,000円、堆肥の施用4,400円、カバークロップ6,000円(いずれも10アール当たり)など、毎年度の実施要綱で確定する。取組メニューと単価が要綱レベルで動くため、市町村の当初予算の見積り時点と国の要綱確定の時点で内容がずれることがあり、予算化の段取りには注意を要する。みどりの食料システム戦略の決定以降は有機農業の団地化や学校給食との連携など関連施策との束ね方が論点になっており、単価表の確認にとどまらず戦略全体の中での位置付けを押さえることが事業設計の前提になる。

ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)