ジチテン

事業費補正

読み:じぎょうひほせい

意味

事業費補正とは、普通交付税の基準財政需要額の算定で用いる補正係数の一つで、地方債を財源に実施した事業の元利償還金を基準財政需要額に算入する補正である。

国が推進したい事業を自治体地方債で実施させても、その後の借金返済まで面倒を見なければ、財政力の弱い団体は手を挙げられない。事業費補正は、特定の地方債の元利償還金を後年度の基準財政需要額に算入することで、実質的に国が交付税で返済の一部を肩代わりし、政策的な事業を全国に広げる仕組みである。

対象となるのは、災害復旧事業債過疎債緊急防災・減災事業債など、国が誘導したい政策に対応した地方債である。償還額の一定割合(事業や債の種類で異なる)が、発行後の各年度に交付税で措置される。これにより自治体は実質的な負担を抑えて事業を実施できる。

この仕組みは事業を促す強力な誘導策である一方、交付税措置を当て込んだ過大な起債を招きやすいという構造的な弱点を抱える。措置されるのは将来の交付税であり、国の財政事情で算入率が見直されれば見込みが狂う。実質公債費比率の算定では、この交付税措置額を分母・分子から除いて団体の真の負担を測る設計になっている。

「交付税措置」という言葉の落とし穴

地方債の説明でしばしば「この債は交付税措置があるから実質負担は何割」と語られるが、その措置の正体の多くがこの事業費補正である。注意すべきは、措置は将来の基準財政需要額への算入であって、現金が色付きで返ってくるわけではない点である。算入されても、基準財政収入額が需要額を上回る不交付団体ではそもそも交付税が交付されないため、措置の恩恵を受けられない。また算入率は法令ではなく地方財政計画の枠内で毎年度決まるため、国の財政事情で将来引き下げられる可能性がある。こうした不確実性を踏まえず措置率だけで起債の損得を判断すると、後年度に想定外の実質負担を抱える。財政課は措置の有無と率だけでなく、自団体が交付団体か不交付団体か、措置が制度的に安定しているかまで含めて起債を判断する必要がある。

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