ジチテン

過疎債

読み:かそさい

意味

過疎債とは、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和3年法律第19号、過疎法)に基づき、過疎地域として指定された市区町村が起債できる地方債の特例のことである。元利償還金の70%が普通交付税の算定基礎(基準財政需要額)に算入されるため、実質的な自己負担が30%となり、財政力の弱い過疎自治体にとって重要な財源となる。

人口減少と税収難に苦しむ過疎地域が通常の地方債で必要なインフラ整備を行えば、返済負担が重くのしかかって財政がもたない。過疎債は、過疎地域に指定された市区町村が起債できる地方債の特例であり、元利償還金の70%が地方交付税で措置されることで、財政力の弱い過疎自治体の事業実施を支える点に意味がある(過疎法)。

過疎法は5年ごとに更新される時限立法(令和3年改正版の期限は令和12年度末)で、人口減少率や財政力指数を基準に過疎地域を指定する。元利償還金の70%が普通交付税基準財政需要額に算入されるため実質的な自己負担は30%にとどまり、通常の地方債(交付税算入なしまたは低率)より格段に有利である。対象は「過疎地域持続的発展計画」に位置づけた事業に限られる。

財政措置の仕組み

過疎債を発行した場合、元利償還金の70%が基準財政需要額に算入される。たとえば1億円の過疎債を発行・返済する場合、実質的に7,000万円が交付税措置され、自治体の実質負担は3,000万円となる。一般の地方単独事業では交付税算入が低率(一般単独事業債は25〜30%程度)であるため、過疎債は財政力の弱い自治体にとって事業実施コストを大幅に軽減する特例財源である。ただし過疎債は地方債(借入金)であるため将来の元利償還の義務が生じ、返済財源の見通しを立てた計画的な活用が必要となる。

対象事業と活用例

過疎法が定める対象事業は、産業の振興、交通通信体系の整備、生活環境の整備、高齢者等の保健・福祉の向上、医療の確保、教育の振興、地域文化の振興、集落の整備、地方公共団体行政の整備など広い分野にわたる。具体的な活用例としては、廃校施設の改修、産業振興施設の整備、ICT基盤の整備、コミュニティバスの導入、医療施設の整備などが多い。令和3年改正で「市街地整備」が対象に加わり、過疎地域内に限らず市町村全域で活用できる事業も拡大された。

過疎指定の要件

過疎法による過疎地域の指定要件は、一定期間の人口減少率が基準以上であるという人口要件と、財政力指数が基準以下であるという財政要件の両方を満たすことである(要件の詳細は過疎法第2条)。人口流出と税収の細りが重なった地域を国が制度的に下支えする対象として線引きするものであり、指定の有無が使える財源を大きく左右する。令和3年改正では「みなし過疎」(合併市町村で一部地区が旧過疎市町村であるもの)の継続措置も整備された。過疎指定を受けると過疎計画の策定義務が生じ、計画に基づく事業についてのみ過疎債が充当可能となる。

ご意見箱(匿名で投稿できます)

0 / 2000