ジチテン

変形労働時間制

読み:へんけいろうどうじかんせい

意味

変形労働時間制とは、一定の期間を平均して1週間あたりの勤務時間が法定の上限内に収まる範囲で、特定の日や週の勤務時間を所定時間より長く割り振ることを認める勤務時間制度である(労働基準法第32条の2等、地方公務員にも適用される)。

保健所の繁忙期や選挙事務、学校・福祉施設のように、日や週によって業務量の繁閑がはっきり分かれる職場がある。変形労働時間制は、忙しい週に勤務時間を厚く、暇な週に薄く割り振り、一定期間(1か月単位・1年単位等)で平均すれば法定労働時間に収まるようにする仕組みで、繁忙期に超過勤務手当を要さずに勤務時間を確保できる。地方公務員には労働基準法が適用されるため、導入には条例規則の整備と、1年単位の場合は労使協定(いわゆる36協定とは別の協定)が必要になる。教員の働き方改革では公立学校教員への1年単位の変形労働時間制の導入が議論となり、夏季休業中のまとめ休業と引き換えに繁忙期の勤務時間を延ばす設計の是非が論点となった。

地方公務員への適用と条例整備

変形労働時間制は労働基準法上の制度だが、地方公務員にも労働基準法が適用されるため(地方公務員法第58条で一部読替え)、自治体が導入するには勤務時間・休暇等を定める条例と規則の整備が前提になる。1か月単位の変形制は就業規則に相当する規則で、1年単位の変形制は対象職員の範囲・対象期間・労働日と労働時間を定めた労使協定(職員団体等との書面協定)で導入する。公務では月60時間を超える時間外への割増など労働時間法制の改正がそのまま及ぶため、繁閑に応じた割り振りで超過勤務を抑える狙いと、健康確保措置(連続勤務日数の上限等)の両立が制度設計上の論点となる。

教員への1年単位変形制をめぐる論点

公立学校の教員は給特法により時間外勤務手当が支給されない特殊な仕組みの下にあり、長時間労働の是正が長年の課題だった。2019年の給特法改正で1年単位の変形労働時間制を条例で導入できるようになり、授業期間中の勤務時間を延ばす代わりに夏季休業中にまとめて休日を確保する設計が想定された。しかし「繁忙期の負担をさらに増やすだけで総労働時間は減らない」との懸念が現場・組合から示され、導入は各都道府県・市町村の判断に委ねられて足並みがそろっていない。変形制が長時間労働対策として有効に機能するかは、業務量そのものの削減と一体でなければならない点が繰り返し指摘されている。

つながりのある用語

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