併任とは、ある任命権者に属する職員を、その身分を保ったまま別の任命権者の職にも任命し、二つの職を兼ねさせる人事上の発令である。
一人の職員に複数の職を担わせる場面で、その関係をどう発令するかは、似た言葉が並んでまぎらわしい。併任は、別の任命権者に属する職を、もとの身分のまま兼ねさせる発令を指す。
眼目は「任命権者をまたぐ」点にある。同じ任命権者の中で別の所属を兼ねるのは兼務、法令によってある職に就けば当然に別の職を占めるのは充て職と、それぞれ別の概念であり、辞令を起こす現場で取り違えやすい。併任は任命権者が異なるため、両者の調整と発令の形式が必要になる。
兼務・充て職・併職との違い——辞令の現場で取り違えやすい4語
併任は、よく似た任用の言葉と並べて初めて輪郭がはっきりする。併任は、国や他の地方公共団体、あるいは同じ団体内でも別の任命権者に属する職員を、その身分のまま自分の側の職にも任命することをいう。これに対し兼務は、同じ任命権者のもとで現在の勤務箇所のまま他の勤務箇所を兼ねさせること、充て職は法令の規定によって一定の職に就いた者が当然に別の職を占めること(あらためての任命行為は要らない)、併職は現職のまま法令等に定める職を兼ねることを指す。違いの軸は「任命権者が同じか異なるか」「個別の発令によるか法令で自動的に生じるか」にある。辞令を起こす人事の現場では、この4語のどれに当たるかで発令の形式も根拠も変わるため、混同が事務の誤りに直結する。
任命権者をまたぐゆえの調整
併任の特徴は、異なる任命権者にまたがって一人の職員を二つの職に就ける点にあり、そこに固有の手間が生じる。例えば知事部局の職員を教育委員会の職にも就ける、市の職員を一部事務組合の職にも就けるといった場合、双方の任命権者の合意のうえで発令しなければならない。さらに、どちらの職務にどれだけ従事するのか、給与をどちらが負担するのか、服務上の指揮監督や懲戒の権限がどちらに属するのかといった整理も必要になる。一つの組織内で完結する兼務と違い、併任は組織の境界をまたぐぶん、運用の取り決めをあらかじめ詰めておく必要がある。
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